TELEPHONE & DATA SYSTEMS INCTDS

時価総額
$40.7億
PER
通信サービスの大手、2024年12月31日時点で小売無線接続440万、ブロードバンド110万。固定無線やIoTソリューションを展開。2024年5月のT-Mobileへの無線事業売却合意、同年10〜11月の周波数売却(Verizon・AT&T)取引。米国内での地域通信事業展開。

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企業概況
113文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

TELEPHONE & DATA SYSTEMS INCは、主に通信サービスを手がける持株会社で、子会社を通じて携帯電話の小売接続や家庭向けのブロードバンド・音声・映像サービスを提供しています。同社はスマートフォンなどの端末販売や端末保証、固定無線ホームインターネットなどの付帯サービスも取り扱っています。

同社の顧客は個人消費者から中小企業、大型企業、自治体まで幅広く、収益の中心は月額のサービス料金です。加えて端末やアクセサリの販売、端末保守・トレードインプログラム、無線塔の賃貸料や法人向けソリューションが重要な収入源になっています。

事業は大きくワイヤレス事業、タワー(基地局)事業、ワイヤライン(ブロードバンド・固定通信)事業に分かれており、それぞれでサービスプラン、端末、企業向けのIoTや運用支援などを展開しています。タワー事業は他社通信事業者への設備貸与で安定収入を得ており、ワイヤライン事業は地方の高速回線整備や企業向け通信での受託工事・保守を手掛けています。

経営方針

同社は資本効率の改善と株主還元を成長戦略の柱に据えています。例えば取締役会は2013年に2億5千万ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年12月31日時点で残りの買付可能額は約1億3,200万ドルでした。またグループ全体では2024年に調整後EBITDAが約13.6億ドル、営業利益(GAAP)は6300万ドルを計上しており、こうしたキャッシュ創出力を背景に事業売却や資本配分で価値を引き出すことを目指しています。2024年にはUScellularの無線事業と一部周波数をT‑Mobileへ売却する契約(総額約44億ドル、うち最大で約20億ドルの債務引受を含む)が発表され、2025年中頃のクロージングを見込んでいる点も重要です。

同社は重点投資分野として地域ネットワークの強化、タワー事業の拡大、固定無線/ブロードバンドの展開、そしてIoTや法人向けサービスを挙げています。タワー部門は2024年末で所有塔が4,409基、コロケーション数は2,444件、テナンシー率は約1.55と堅調で、2024年のタワー向け資本支出は約2300万ドルでした。一方でTDS Telecomは連邦のE‑ACAM制度を受け入れ、今後15年間で年約9000万ドルの支援を受けながら約30万カ所へ100/20Mbps相当の高速回線を展開する計画を掲げており、地方顧客向けの回線網整備を差別化要因としています。

新市場開拓と事業拡大では、無線事業の取引を通じた資産再配分が目立ちます。UScellularはT‑Mobileへの資産売却に加え、Verizonへ約10億ドル、AT&Tへ約10.18億ドル相当の周波数譲渡契約を締結しており、これらは規制承認が前提のうえでクロージング次第で一時的に大きな現金収入を生む見込みです。同社はこれら資金を債務圧縮、ネットワーク投資、TDS Telecomなど成長分野への再投資、あるいは株主還元(自社株買いや配当)に充てることを目指しています。なお、配当再投資制度では記録保有者が10株以上で再投資時に市場価格から5%割引で取得できるなど、個人株主向けの還元策も整備されています。

技術革新への取り組みでは、同社は5Gの低・中・高帯域を組み合わせたネットワーク投資と、固定無線アクセスやプライベートセルラー、IoTプラットフォームの強化を進めています。顧客向けには高精度の固定無線ホーム機器やデバイス保護プログラム、法人向けではSIM管理や映像・資産管理といったマネージドサービスを拡充して差別化を図っており、ソフトウェア資産の改良により耐用年数を延長して減価償却費を抑える施策も行っています。これらはネットワーク品質と顧客体験を高めることで競争力を維持・向上させる狙いです。