TransDigm Group INCTDG

時価総額
$745.8億
PER
高付加価値航空機部品の大手。専有設計部品、長期アフターマーケット(2024年度で純売上の約90%が自社製品、約55%がアフターマーケット)を展開。1993年以降93社を買収、2024年6月6日に電子事業を約13.85億ドルで買収。100,000機超搭載の実績で世界展開。

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企業概況
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同業種の日本企業
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事業内容

TransDigm Group Incは、民間・軍用の航空機向けに独自設計の部品を開発・製造・販売する企業です。同社は座席用ベルトや操縦室の保安システム、パラシュート、宇宙用機器など、安全性や機能に直結する高付加価値部品に強みを持ち、単なる図面通りの受注より自社設計の独自製品に注力しています。

同社の顧客は航空会社や軍、航空機メーカー、主要流通業者など幅広く、2024会計年度の売上の約55%が保守・交換市場から発生しています。約90%の売上が独自製品によるもので、部品が機体に採用されるとその後25〜30年にわたる交換需要が見込めるため、アフターマーケット収益は利益率が高く安定しています。

事業は「電力・制御」「機体」「非航空」の三部門で運営しており、電力・制御部門は電子や流体を使った動力供給・制御系を中心に扱っています。機体部門は構造や安全関連の部品を、非航空部門は宇宙機器や特殊装備を扱い、各部門とも設計力と保守サポートで差別化を図っています。加えて同社は選択的な買収戦略で後付け需要の高い事業を取り込み、約120の生産拠点を通じて製品群を統合・拡大しています。

経営方針

同社は安定した売上拡大と収益性維持を成長の柱に据えています。2024会計年度は売上高79.4億ドル、営業利益率44.5%、当期純利益は17.14億ドルを計上しており、既存事業の伸長(有機売上は前年から16.2%増)と買収の組み合わせで前年同期比20.6%の成長を達成しました。資本配分では設備投資や買収を優先しつつ、余剰資金は特別配当や自社株買い(取締役会承認の自社株買い枠は22億ドル、2024年9月末時点で約12.88億ドルが未使用)にも充てる方針で、同社は株主還元と成長投資の両立を目指しています。

重点投資分野は高付加価値の航空部品とアフターマーケットで、同社は製品の約90%を専有品として提供し、2024年度の売上の約55%をアフターマーケットが占めています。具体的には、100,000機超と推定される装着機体ベースに対する継続的な部品供給を重視し、設計力や保守対応力に投資して価格やサービスで差別化を図っています。製造基盤は約120拠点を擁し、低マージンの「図面どおりの製造」には基本的に参入せず、製品設計・技術支援を通じた高い利益率の維持を目指しています。

事業拡大は選択的買収と既存市場での深掘りで進めています。2024会計年度にはCPIの電子機器事業買収(約13.85億ドル)、Raptor Scientific(約6.47億ドル)、SEI(約1.71億ドル)を完了し、これまでに1993年以降で93件の買収実績があります。防衛分野については米国国防予算の上振れを背景に防衛売上が前年より4.86億ドル(18.9%)増加しており、同社は官需拡大を取り込みつつ買収資金のための流動性(2024年9月末の手元現金は62.61億ドル、回転融資等を含む資金余力は72.67億ドル)を確保して成長機会に対応する方針です。

技術革新への取り組みは、製品の高付加価値化と製造効率の向上に直結しています。同社は無接触操作や環境配慮型の内装材、ブラシレス方式の起動発電機などの新製品開発や、設備の自動化・生産性改善、情報システムとサイバー対策への投資を進めています。研究開発や設備投資は継続的に実施しており、2024会計年度の設備投資は約1.65億ドルにのぼるなど、技術と生産基盤を強化して長期的なアフターマーケット収益の確保を目指しています。