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- TRANSCONTINENTAL REALTY INVESTORS INC
TRANSCONTINENTAL REALTY INVESTORS INCTCI
事業内容
TRANSCONTINENTAL REALTY INVESTORS INCは、主に米国南部で収益を生む不動産の取得・開発・保有を行う不動産投資会社です。同社は賃貸用の集合住宅やオフィス中心の商業物件を保有し、土地の取得や将来開発のための保有も行い、賃料収入と物件売却で収益を上げています。日常の運営や投資機会の検討はアドバイザーのPillarに委託しています。
主要な顧客は集合住宅の入居者とオフィスや工業、流通などでスペースを借りる事業者、加えて一部の地方・連邦機関などで、これらへの賃貸が同社の主な収入源です。同社はまた、不要な土地や完成物件の売却で一時的な利益を得ることがあり、管理や開発への外部委託費用がコスト構造に影響します。従業員は同社ではなくPillarの従業員が業務を担っている点も特徴です。
事業は大きく集合住宅部門と商業用(主にオフィス)部門に分かれており、運用中や開発中の住宅ユニット、複数のオフィスビルと広大な土地保有を通じて収益基盤を形成しています。直近では運用中の集合住宅が約2,328戸、開発中の集合住宅が約906戸、商業物件は合計で約1,060,236平方フィート、土地保有は約1,804エーカーにのぼります。同社は建設融資や社債等の資金手段を活用して開発を進め、管理業務の一部はRegisや外部管理会社が担っています。
経営方針
同社は成長戦略の中心に「既存賃貸収入の拡大と開発プロジェクトの着実な完成」を据えています。具体的には、運用中の14物件・2,328戸に加え、着工中・計画中の4件・906戸の多世帯住宅開発を2025〜2026年に順次完成させることで入居者ベースと賃料収入を引き上げることを目指しています。これらの開発総額はおおむね2.07億ドルに上り、建設資金はAleraで約3,300万ドル、Meranoで約2,540万ドル、Bandera Ridgeで約2,350万ドル、Mountain Creekで約2,750万ドルの建設ローンが設定されています。加えて、Windmill Farmsでは125エーカーを約470区画の戸建て用地に転換するプロジェクト(総額約2,430万ドル)を進めており、開発による持続的なキャッシュフロー拡大を目指しています。
同社は重点投資を多世帯住宅(マルチファミリー)と商業用オフィスに置いており、これが差別化戦略の柱になっています。ポートフォリオは商業物件で約1,060,236平方フィートのオフィス空間、約1,804エーカーの土地保有を含み、立地は南部の高成長型郊外市場を中心に選定しています。差別化の源泉として同社は外部業者に丸投げせず、関連会社のPillarをアドバイザー兼デベロッパーとして活用することで、設計・工事品質の確保、工期管理、コスト抑制を図るとともに、プロジェクトの開発手数料(ハードコストの約4%)を通じた収益取り込みを行っています。また、共同事業では支配権確保を重視し、不測のリスクに対する影響を抑える方針です。
新規市場開拓と事業拡大については、既にテキサス州(McKinney、Dallas、Temple)やフロリダ州(Lake Wales)など地場需要が強い都市圏での開発を進めており、これらを足掛かりに近隣サブマーケットへの横展開を図っています。資金調達面では上記の建設ローンを中心に調達を進め、必要に応じて追加の借入や物件売却を組み合わせて資本効率を高める考えです(2024年末時点で長期債務の返済スケジュールや担保付ローン残高が明示されています)。一方で、一部物件で債務サービス比率の違反が生じたケース(770 South Post Oak)もあり、短期的には貸手の条件に従ったキャッシュの管理を行いながら、財務の健全化と拡大の両立を図っています。
技術革新とガバナンス面では、同社は自ら直接IT人員を抱えるのではなく、Pillarの情報技術体制に依拠してサイバーセキュリティや業務継続策を整備しています。具体的には、NISTやCISの基準に準拠した脅威対策、インシデント対応計画、ディザスタリカバリー手順、従業員向けの教育訓練等を実施しており、これにより基幹業務や入居者情報の保護を図っています。財務・開示面でも管理層は開示統制と内部統制の有効性を評価し、2024年12月31日時点で有効と結論付けています。また会計開示の透明性向上に向け、FASBの新基準(ASU 2023‑07は採用済み、ASU 2023‑09およびASU 2024‑03は影響を評価中)への対応も進めており、投資家向け情報の充実を通じて資金調達と市場評価の改善を図っています。