TAKEDA PHARMACEUTICAL CO LTDTAK

時価総額
PER
医薬品開発・製造の最大手。希少疾患や血漿由来治療薬、バイオ製剤の研究開発と製造を展開。2023年2月にNDI-034858の権利を40億USDで買収。大阪新工場へ950億円投資を発表(2025年度着工、2029年度完成予定)、米国ロサンゼルスへ346億円投資、ケンブリッジで2817億円のR&D拠点建設中。日本・米国・欧州中心に展開。

事業内容

TAKEDA PHARMACEUTICAL CO LTDは世界的な製薬会社で、主に処方薬の研究・開発・製造・販売を行っています。同社はがん、消化器、希少疾患、免疫関連疾患、ワクチンや血漿由来の治療など複数の治療領域に注力し、新薬の創出と既存薬の提供を両輪で進めています。

同社の顧客は病院や診療所、医薬品卸、各国の医療制度や公的保険が中心で、販売は処方ベースで行っています。収益は主に完成品医薬品の売上で構成され、一部の主力製品に収益が集中するため特許切れや後発品の影響に敏感です。

同社は事業を研究開発、医薬品販売、血漿由来製品などの複数セグメントで展開しており、創薬パイプラインの拡充や外部との提携、買収を通じて成長を図っています。製造設備や研究拠点への投資も進め、グローバルに臨床開発と供給体制の強化を進めている点が特徴です。

経営方針

同社は持続的な成長と収益性の回復を同時に達成することを目指しています。グローバル展開を強化する中で、2024年3月期は海外が売上の89.4%、とりわけ米国が51.5%を占める構造になっており、新たな成長機会の確保と既存製品の収益性改善を成長戦略の柱としています。成長の手段としては、外部からの事業買収やアライアンスを継続的に追求しており、例として2023年2月にTYK2阻害剤(社内名TAK-279)関連の資産を買収するために4億ドルの前払いを行い、将来の売上段階に応じた最大2億ドルのマイルストーン支払いを設定しています。

重点投資分野は高付加価値の生物由来医薬や血漿由来製品、そして希少疾患領域であり、製造能力と研究開発の両面で差別化を図っています。具体的には血漿由来療法のために大阪で約950億円、米ロサンゼルスで約346億円、ベルギーLessinesで約473億円を投じた生産設備拡充を進めており、これにより供給安定性とスケールメリットを確保しようとしています。同社は高度な製造網と専門性の高い製品ポートフォリオで競合との差別化を図っていますが、買収の統合や開発リスクに伴うのれん・無形資産の減損リスクも明示的に認識しています。

新市場開拓や事業拡大については、新興国を重要な成長源と位置づけ、特に中国での事業拡大を戦略上重視しています。約80の国・地域で事業を展開する国際的なネットワークを背景に、2024年3月期の新興国売上は6,498億円(全体の15.2%)に達しており、現地での市販承認や価格償還の確保、流通・供給網の整備を通じて市場浸透を図る計画です。加えて、研究開発や生産能力の拡充(米国ケンブリッジのR&D拠点建設に約2,817億円投資)を通じて新製品のグローバル展開を加速させる方針です。

技術革新への取り組みとして、同社はデジタル化や自動化、人工知能(AI)を活用した業務改革を推進しています。2024年5月に発表した全社横断の効率化プログラムでは、組織の簡素化、調達モデルの改善、生産性向上を掲げ、その実行のために多額の先行投資と人的資源再配分を行う計画で、2025年3月期に1,400億円のリストラ費用を計上する見込みとしています。研究面では自社内でのパイプライン育成に加え外部技術の取り込みを進め、買収した候補物質の臨床開発や承認取得を通じて製品化を目指すなど、技術と資本を組み合わせたイノベーション投資を継続しています。