- 米国企業
- TAITRON COMPONENTS INC
TAITRON COMPONENTS INCTAIT
事業内容
TAITRON COMPONENTS INCは、顧客向けに設計から製造までを請け負うODM製品と、従来の電子部品の流通を手がける企業です。同社は上海に設けたエンジニアリング拠点を活用して用途に合わせたカスタム機器を開発し、在庫を活かした迅速な出荷にも対応しています。近年は在庫中心の「スーパーストア」戦略から転換し、ODM事業に重点を移しています。
同社のODM製品は主にOEM(他社ブランド向け製造)顧客に販売し、流通部門は流通業者や契約製造業者にも部品を供給しています。売上は少数の大口顧客に依存する傾向が強く、直近期は上位顧客の占める比率が非常に高い点が特徴です。営業・受注処理は米国バレンシアの本社に集中させ、小規模な営業体制で顧客対応と出荷の迅速化を図っています。
事業は大きく三つの製品ラインに分かれ、顧客向けのODMプロジェクト、同社ブランドの部品、他社ブランドの流通部品で構成されています。ODMプロジェクトでは野生動物用給餌器や直流モーター用タイマー、街路灯制御器、充電器など特定用途の小型機器が中心で、金型や組立は海外の協力先と連携して進めています。同社は在庫と開発力を組み合わせてリードタイム短縮やコスト削減を図り、年単位の生産計画で在庫管理を行っています。
競争環境は厳しく大手や他の受託製造業者との競合がある一方で、同社はエンジニアリング力と柔軟な設計対応、納期管理で差別化を図っています。ただし、仕入先や特定顧客への依存、海外製造に伴う供給リスクといった留意点があり、投資家は顧客集中やサプライチェーンの脆弱性を注意して見る必要があります。
経営方針
同社は成長戦略の中心を「顧客仕様の受託設計・製造(ODM)」に移行しており、高付加価値の長期案件での売上拡大を目指しています。実際、2024年のODM売上は約4,124千米ドルで、同年の総売上4,141千米ドルの大部分を占めています。短期的にはキャッシュ約4.2百万米ドル(2024年12月31日現在)を活用しつつ、ODM比率の維持・拡大と利益率の改善によって安定的な収益基盤の確立を目指しています。ただし2024年は主要顧客への依存度が高く、上位2社で約73%を占めるなど顧客集中リスクが存在するため、このリスク管理も成長計画の重要課題と位置づけています。
同社は重点投資分野として設計・開発体制と海外の協業パートナーを挙げており、具体的には中国上海にある4,500平方フィートの設計・エンジニアリング拠点を核に、Teamforce、Grand Shine、Zowie Technologyといった戦略的アライアンスを活用しています。差別化策としてはマイクロプロセッサー制御や電源管理、LED表示や無線回路などの応用設計能力を前面に出し、納期短縮のため自社在庫の一部を活用するほか、受注時に15〜30%の前払いを求め、納入は非取消・非返却の条件で年次生産を行うことでコスト低減とスケジュールの確保を図っています。なお在庫評価引当は約5,152千米ドルと大きな金額を抱えているため、在庫管理の改善も併せて進めています。
新市場開拓と事業拡大については、同社は国内OEM向けのプライベートブランド設計を契機に海外の受託製造業者(CEM)への輸出拡大を目指しています。過去の事業モデルからの転換で、従来の「在庫大量保有による即時供給(スーパーストア)」はオンラインでの在庫処分へ移行させ、営業リソースはODM案件に集中する方針です。販売体制は本社に集約された6名の営業・受注部門と上海の設計力で連携し、複数年にわたる案件でパートナーと協調することで受注の安定化と在庫リスクの低減を図る計画です。
技術革新への取り組みとして、同社は設計センターと外部協業による開発リードタイムの短縮とコスト低減を進めています。具体的には海外の設計支援会社と共同で回路再設計や部品の統合化を行い、部品置換やデジタル化による機能向上と原価低減を図ることで、低〜中量で利益率の高いニッチ製品を狙っています。また、協業先からの製品保証や品質管理体制を取り入れることで顧客の信頼を確保し、年間の出荷計画に基づく生産で総コストを抑えるなど、技術と調達の両面で競争優位を築くことを目指しています。