TRANSACT TECHNOLOGIES INCTACT

時価総額
$4133.1万
PER
食品サービス・POS・カジノ向けのソフトウェア駆動印刷技術の最大手。2019年にBOHA!ハードとクラウドアプリ、EPICENTRALやサーマルプリンターを展開。2023年Q4にRothを戦略アドバイザーに起用。北米・欧州・アジア中心に世界展開。

事業内容

TransAct Technologies Incorporatedは、業務用プリンターや端末と、それらを制御するソフトウェアを組み合わせた取引・印刷ソリューションを開発・販売しています。主力には飲食店向けのバックオフィス自動化製品「BOHA!」や、カジノ向けの管理ソフト「EPICENTRAL」、高信頼のサーマルプリンターや取引レシート・ラベル発行端末などがあり、ハードとクラウド型アプリを組み合わせた提供を行っています。

同社の顧客には、レストランやコンビニなどのフードサービス事業者、POS機器メーカー(OEM)、販売代理店、カジノ運営会社、そして一部の政府・小売業者などが含まれます。収益はハードウェア販売に加え、ソフトウェアのサブスクリプションやライセンス収入、消耗品・ラベルなどの定期購買、保守・延長保証などのサービス料が柱になっており、主要取引先の一つであるLight & Wonder向け売上が2024年に約11%を占めるなど顧客集中度も見られます。

同社は会計上は単一の事業セグメントとして、ソフト駆動型の技術と印刷ソリューション及び関連するサービス・消耗品を展開しています。製品ラインは、飲食向けのBOHA!ハードとクラウドアプリ、カジノ向けのEPICENTRAL(主にSaaS提供)、伝票やクーポンを出力するサーマルプリンター群、そして消耗品や修理・代替サービスを扱うTransAct Services Group(TSG)に分かれており、一部ソフトウェアは第三者からのライセンス供給と収益分配に基づいて提供・ホスティングされています。

経営方針

同社は株主価値の最大化を成長戦略の中心に据えており、2023年末からRoth Capital Partnersを助言先として起用し、戦略的選択肢の検討を継続しています。経営陣は並行して事業拡大にも取り組んでおり、短期的には2025年にカジノ・ゲーミング向け売上が2024年より改善すると見込んでいるものの、大口顧客の在庫調整や主要競合の供給再開による価格下押しの影響を想定しています。2024年時点で特定顧客(Light & Wonder)への売上は全体の11%を占めており、同社は配当を出さず内部留保でBOHA!などの成長分野を優先的に投資する方針で、時価総額は2024年6月末で約3,300万ドル、発行済株式数は2025年3月時点で10,080,717株です。

同社は投資の重点を「フードサービス技術(BOHA!)」「POS(販売時点端末)と消耗品を扱うTransAct Services Group」「カジノ向けソフト(EPICENTRAL)」の三領域に置いて差別化を図っています。具体的には2019年にBOHA!ハードとクラウド型アプリを投入して以降、ハード設計を拠点のイサカ(約73,900平方フィート)で進め、ラスベガス(約19,600平方フィート)でソフト開発を行うなど研究開発体制を強化しています。製造は主にタイの契約メーカーに依存しており供給集中はリスク要因ですが、同社は複数ソースの確保や消耗品の定期販売で収益の安定化を図り、株主承認済みの株式報酬枠は合計2,900,000株(うち未行使オプション等1,753,678件、発行余地655,672株)を活用して人材確保とインセンティブ付与を行っています。

新市場開拓と事業拡大では、既存の米州・欧州・アジア太平洋の販路を活用しつつ、BOHA!のバックオフィス自動化を小~大規模飲食チェーンへ広げることを目指しています。加えて戦略的見直しの一環として外部と複数の交渉段階にあり、買収・売却などの選択肢を含めて最適解を探る方針です。ただし、貿易摩擦や新たな関税(2025年の米加墨間の動きなど)やサプライチェーンの変動は注視しており、これらが生じた場合は調達コストや納期に影響が出るため、柔軟に調達先や価格対応を行う計画です。

技術革新については、同社は「目的特化型のハード」と「選択できるソフト群とサービス」を組み合わせることを差別化の源泉と位置づけています。EPICENTRALのようなカスタマイズ性の高いソフトは競合が少ない一方で、BOHA!の一部ソフトは第三者が開発・ホスティングし2031年までのライセンスと収益分配で提供されているため、外部連携で市場投入を加速しています。加えて情報セキュリティと事業継続性を重視し、経営陣とサイバーセキュリティ専門チームが年間計画で脆弱性診断やインシデント対応訓練を実施するなど、顧客信頼を維持する具体策を講じています。