Shockwave Medical, Inc.SWAV

時価総額
PER
心血管向け医療機器の大手。IVLカテーテル(C2+、M5+、S4)を展開。2022年8月にC2+でMDR承認、2023年10月にM5+・S4で承認を取得。2023年純利益1億4730万ドル、2022年2億1600万ドルを計上。米国・欧州・日本を含む55か国超で展開。

事業内容

Shockwave Medical, Inc.は心血管領域向けの医療機器を開発・販売しており、特に血管内の硬いカルシウム(石灰化)を解消してその後のバルーン治療やステント留置を容易にする治療システムを主力としています。同社は音波に似た衝撃を利用するシステム本体と、処置ごとに使う一次使用のカテーテルを中心に提供しています。

同社の主要な顧客は病院と循環器を手がける医師で、米国・欧州・日本を含む主要市場で直販チームを持ち、さらに世界55か国以上で販売代理店を通じて販売しています。収益は装置本体の販売と、手術で毎回使うカテーテルなどの消耗品販売が中心であり、定期的なカテーテル需要が継続的な収入源になっています。加えて、地域ごとの販売形態(直接販売や委託販売)や保険償還の整備が導入ペースに影響しています。

同社の製品ラインは冠動脈向けと末梢血管向けに分かれ、プラットフォーム装置と複数サイズのカテーテルで構成しています。研究開発と臨床サポート、品質管理に注力し、サンタクララの拠点での管理と外部の委託生産を組み合わせて供給体制を維持しつつ、各国の認可取得と販売網拡大を進めています。

経営方針

同社は売上拡大と持続的な収益確保を両立する成長を目指しています。直近では2023年の通期で1億4,730万ドルの純利益を計上し、現金・短期投資は約9.9億ドルを保有していますが、同社は今後も販売促進や研究開発、規制対応に積極投資して市場浸透を高めることで、収益の安定化と成長率の維持を図ろうとしています。従業員数は2022年末の1,001名から2023年末に1,468名へ増加しており、同社は人的体制の拡充を通じて販売力と開発力を強化することを目指しています。

同社は販売・マーケティング、製品開発、品質管理に重点投資することで差別化を図っています。具体的には米国や主要欧州市場、日本などで直販体制を整備し、55カ国以上で代理店網を展開しているほか、製造の品質面ではISO 13485やISO 14001、医療機器の多地域監査認証(MDSAP)を維持しています。欧州の新規制(MDR)下でもC2+、M5+、S4といった機種の承認を取得しており、同社はこうした品質と承認実績を武器に「血管内の石灰化を破砕する独自技術」を臨床現場で選ばれる差別化要因にすることを目指しています。

同社は新市場開拓と事業拡大にも明確に取り組んでいます。2023年4月にネオヴァスク社を買収して製品・技術ポートフォリオを拡大したほか、末梢動脈疾患や冠動脈疾患、難治性狭心症に加え、頸動脈疾患や大動脈狭窄、僧帽弁狭窄などの適応拡大を視野に入れています。保険償還の改善も重点課題で、例として冠動脈の血管内破砕に対する医師報酬の附加コードが2024年1月1日から設定されるなど、同社は診療コード整備や地域ごとの販売体制強化を通じて利用件数の拡大を目指しています。

同社は技術革新を持続的競争優位の源泉と位置付け、臨床試験や新製品の規制申請に継続投資しています。資本政策面では2023年に7.5億ドルの転換社債を発行し、転換による希薄化緩和を目的とした上限付きコール取引に約9,640万ドルを支出するなど資金面の準備も行っています。知的財産の保護や社内外での臨床教育、製造能力の強化を通じて、同社はより広い適応と使いやすさを備えた次世代製品の市場投入を目指しています。