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Smurfit Westrock plcSW
事業内容
Smurfit Westrock plcは、容器用紙や紙板を生産し、それを使った段ボール箱、折りたたみ箱、店頭ディスプレイなどの紙包装製品を世界各地で製造・販売する総合パッケージング企業です。同社は製紙工場と加工工場を自社で保有し、パッケージ設計や自動化機器を組み合わせたソリューション提供にも力を入れています。
主要顧客は消費財メーカーや小売業、物流事業者などで、地場向けの輸送包装からブランド向けの化粧箱や販促什器まで幅広い需要を相手にしています。同社の収益は市場価格での短期受注が多い一方、1〜3年の供給契約に基づく安定的な売上もあり、多くの契約で原材料費変動を価格に転嫁する仕組みをとっています。幅広い顧客基盤を維持して顧客集中リスクを低減する戦略を採っています。
事業は北米、欧州・中東・アフリカ・アジア太平洋、ラテンアメリカの三つの地域セグメントで展開し、各地域でコンテナボードや紙板、クラフト紙といった原紙の生産と、それを使った段ボールや折箱、販促什器などの加工を行っています。同社は自社製の原紙を社内の加工拠点へ優先供給するとともに、他社との原料交換や外部調達でシステムを最適化し、地域ごとにバージン材と再生材を使い分けています。さらに30か所のイノベーション拠点や機械化ソリューションを通じてデザイン、品質、持続可能性で差別化を図っています。
経営方針
同社は、2024年のSmurfit KappaとWestRockの統合を通じて規模の拡大と収益性向上を図り、グローバルなリーディングポジションを確立することを目指しています。買収対価は約134.6億米ドルで、統合により生まれる相乗効果を織り込んだのが買収会計上の前提であり、買収時に計上されたのれんは約41.8億米ドル、営業用有形資産の公正価値は約176.1億米ドルと評価されています。統合後の年間生産能力は地域別合計で約2,348万トンに達し、規模を武器に原材料調達や物流の効率化、価格交渉力の強化で成長を狙っています。
同社は重点的に生産設備、顧客体験、そして情報システムへの投資を行う方針です。製紙・段ボールの製造拠点やコンバーティング(加工)能力を最適化するため、製紙工場や流通網の配置を基に近隣需要に合わせた供給を徹底し、物流コストを抑える施策を実施しています。マーケティング面では「品質」「デザイン差別化」「高水準の顧客サービス」を訴求し、1〜3年の供給契約を通じて顧客の囲い込みを図るなど、製品とサービスでの差別化を目指しています。
同社は新市場開拓と事業拡大を、既存の三極(北米、欧州、ラテンアメリカ)を軸に進めています。グループは北米・欧州・ラテンアメリカに合計で約680の事業所を保有し、コロンビアとブラジルでそれぞれ約16.5万エーカー、13.6万エーカーの森林資源を有することで、原料供給の安定化を図っています。加えて現地の顧客ニーズに応じたローカル展開や取引先との長期契約でシェア拡大を狙い、将来的な買収や資本取引も選択肢として採り入れつつ成長を追求しています。
同社は技術革新とデジタル化を成長エンジンと位置づけ、製品設計から生産、サプライチェーン管理までの高度化を進めています。30カ所の顧客連携型イノベーションセンターを通じて現地ニーズに即した包装ソリューションを開発し、自動化包装システムなどの特許を活用して差別化を図っています。また、統合に伴う基幹システムの統一やサイバーセキュリティ強化(24時間監視や年次の外部侵入検査)に投資し、内部統制の改善や業務効率化を進めることで、長期の競争力維持を目指しています。