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Sunoco LPSUN
事業内容
Sunoco LPは、主にガソリンや軽油などの燃料の調達・保管・配送と、ガソリンスタンドを中心とした小売店運営を手がける米国のエネルギー事業者です。同社は製油所や精製業者から燃料を仕入れ、自社の輸送手段や倉庫網を使って販売拠点や卸先へ届けています。
主要な顧客は個人のドライバー、独立系サービスステーションの事業者、輸送や産業向けの商業顧客など多様です。同社の収益は店舗での燃料・商品販売の粗利に加え、卸売や輸送・貯蔵に対する手数料や輸送料金、長期供給契約による安定収入が中心になっています。
事業は大きく燃料流通、パイプラインとターミナル(貯蔵)事業、店舗運営の三本柱に分かれます。燃料流通では主要ブランドとの供給契約に基づくブランド燃料と無印燃料の販売、パイプライン・ターミナルでは原油や精製品、アンモニアなどの長距離輸送と貯蔵サービスを行い、店舗部門ではコンビニ商品や付帯サービスで付加価値を高めています。
経営方針
同社は成長を外形拡大と事業の多様化で実現することを目指しています。直近では2024年5月にNuStarを買収し、約51.5百万単位の新株を発行(発行価値約28.5億ドル相当)し、約35億ドルの債務と約8億ドルの優先出資を引き受ける形で統合しました。この取引により同社はパイプラインやターミナルの保有規模を大幅に拡大し、長期的には規模の拡大によるコストシナジーや信用力向上を通じて分配の拡大を図る方針です。なお、2024年末の連結貸借対照表上ではのれんが約14.8億ドル、無形資産が約5.47億ドル、在庫は約9.6億ドルと、買収と在庫保有が財務構成に与える影響も大きい点を踏まえて運営しています。
投資の重点分野はパイプラインとターミナル、輸送網および燃料の在庫管理にあります。既存で精製製品用パイプライン約6,000マイル、原油パイプライン約6,000マイル、アンモニア用約2,000マイル、ターミナル約67か所を保有しており、NuStarの約9,500マイルと63ターミナルの追加でネットワークの厚みが増しました。差別化策としては、自社車両と提携輸送業者を組み合わせた配送網や、ChevronやExxonなど大手ブランドとの供給契約を基盤にして顧客サービスを安定させる点、そして在庫変動を先物や店頭取引などでヘッジする厳格なリスク管理方針を掲げ、価格変動が利益に与える影響を抑える運用を行っています。
新市場の開拓と事業拡大では、再生可能燃料やアンモニア、特殊液体といった製品群への関与を深める方針をとっています。NuStarの施設は再生可能燃料や特殊液体の保管・輸送能力を持ち、同社はこれを活用して低炭素経済への適応や新たな収益源の獲得を狙っています。また、自社のマーカスフック工場での燃料製造や、業界の戦略的な資産売却機会を通じたホールセール流通資産の取得を成長の柱としており、買収が増加キャッシュフローにつながるよう、資金調達と統合の両面で慎重に進める計画です。ただし買収や統合に伴う運営上の複雑さや資金調達コストの上昇がリスクとなる点も経営は重視しています。
技術革新と運営効率化にも投資を続けており、同社は顧客向けの専用ウェブシステムや在庫管理を支援するインターネットベースのツール、会計・調達・請求・在庫を統合する配給システムを運用しています。顧客の発注・請求処理は電子送金が中心で、商品価格リスクには取引所先物や店頭スワップなどのデリバティブを用いることで対応しています。金利変動リスクについては必要に応じて金利スワップを活用する選択肢を検討するなど、財務・市場リスク管理と現場の安全・人材育成を両輪に挙げて事業の安定化と効率向上を目指しています。