Seagate Technology Holdings plcSTX

時価総額
$607.4億
PER
データストレージ製品の大手。HDDや高密度HAMR技術を採用したMozaicプラットフォームやLyve製品を展開。2024年4月にSoC事業を半導体大手に約6億ドルで売却。本社をシンガポールに置き、中国・マレーシア・タイ・北アイルランド・米国で生産拠点を展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
1社)

事業内容

Seagate Technology Holdings plcは世界的なデータストレージ企業で、主にハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)の設計・製造・販売を行っています。加えて大容量データ向けのシステムやデータ管理ソリューション(Lyveなど)やストレージサブシステムも手がけています。

同社の売上は主にOEM向けや大規模データセンター事業者、クラウドサービスプロバイダ(CSP)を通じて発生しており、直近の会計年度ではOEMチャネルが売上の大部分を占めました。流通業者や小売向けの販売も行っていますが、主要顧客への依存や需要の景気循環が収益の変動要因となり、価格競争によるマージン圧力を受けやすい構造です。

同社は単一の報告セグメントとして報告している一方で、製品ラインは大きく分けてマス容量向けの高容量HDD、エンタープライズやコンシューマ向けのHDD・SSD、そしてデータ移行や管理を支援するシステム・サービスに分類できます。研究開発では大容量化技術(Mozaicプラットフォームや次世代記録技術など)に注力し、中国、マレーシア、タイ、シンガポール、北アイルランド、米国などのグローバルな製造拠点で量産体制を維持しています。

経営方針

同社はクラウドや大規模データセンター向けの高容量ドライブ需要の回復を取り込み、収益性とキャッシュ創出を回復することを目指しています。直近の会計年度では398エクサバイトを出荷し、売上高は約66億ドル、粗利益率は23%、営業キャッシュフローは9.18億ドルを計上しました。安定的な株主還元も重視しており、同年度に5.85億ドルの配当を支払う一方で、借入金の再編として15億ドルの交換社債を発行し、約13億ドルのタームローンの返済を進めています。また、経営効率化の一環として2022年10月と2023年4月に実施したリストラクチャリングで累計約3.36億ドルの費用を計上し、費用構造のスリム化を図っている点も同社の成長戦略の重要な柱です。

同社は高容量「ニアライン」ドライブや大容量データ保管向け製品に重点投資し、ここでの差別化を図ることを目指しています。具体的には、製品開発をプラットフォーム化することで設計と調達の効率を高め、メディアや読み書きヘッドなどの主要技術を内製・統合することで供給安定性とコスト競争力を確保しようとしています。グローバルな製造拠点(中国、マレーシア、北アイルランド、シンガポール、タイ、米国)を活用して量産体制を維持しつつ、今後の設備投資は比較的抑制的で、会計上は2026会計年度に約3,500万ドル、2027会計年度に約2,700万ドルの資本支出を見込んでいます。

事業拡大については、コアのHDD事業に資源を集中させる一方で、非中核資産の整理も進めています。具体例として、同社はシステム・オン・チップ(SoC)関連の知的財産や設備をブロードコム系企業に6億ドルで売却し、当該事業からの撤退に伴い約3.13億ドルの純益を計上しました。こうした資産売却と負債再編を通じて財務の柔軟性を高め、クラウドやAIの台頭で拡大する大容量ストレージ市場への供給と営業力強化に注力する方針です。なお、製品需要の回復に伴い一部リードタイムが長期化して供給がタイトになっているため、顧客対応や在庫管理の改善も継続的な課題と位置付けています。

技術革新では、同社は容量を飛躍的に高める次世代記録技術への投資を強化しており、特に「HAMR(熱支援磁気記録)」の導入による面記録密度向上を進めています。HAMRはヘッドで局所的に媒体を加熱してより高密度にデータを記録する技術で、同社の「Mozaic」プラットフォームなど高容量製品における中核技術です。加えて、記録ヘッドや媒体の研究開発、歩留まり改善、製品の顧客資格取得(クオリフィケーション)の高速化に注力しており、約4,000件の米国特許を含む知的財産ポートフォリオで技術競争力を支えています。これらの取り組みにより、同社は大容量ストレージ市場での優位性確保と長期的な成長を目指しています。