- 米国企業
- STERLING INFRASTRUCTURE, INC.
STERLING INFRASTRUCTURE, INC.STRL
事業内容
STERLING INFRASTRUCTURE, INC.は米国で複数の子会社を通じてインフラ建設を手掛けています。同社は大規模な用地造成やデータセンター・製造施設・物流倉庫向けの現場開発、道路や橋、空港などの交通インフラ工事、住宅や商業施設のコンクリート基礎や配管などの建築関連サービスを主力に展開しています。現場の安全管理や持続可能性にも配慮し、計画から施工まで一貫して対応しています。
同社の顧客はハイパースケールやコロケーションのデータセンター運営会社、大手製造業や流通業者、州の運輸局や空港・港湾・鉄道当局、さらに大手住宅ビルダーやデベロッパーなど幅広くなっています。収益はプロジェクトごとの受注が中心で、セグメントごとに大口顧客への依存が見られる一方で、直近は連結で単一顧客の比率が低く分散も進んでいます。同社は従来の低入札型の重交通工事から、より利幅の高い設計・施工案件や付加価値の高い仕事へ事業構成をシフトしています。
同社はE‑Infrastructure、Transportation、Buildingの三つの報告セグメントで事業を運営しています。E‑Infrastructureは大規模サイト開発を主に米国の南部や北東部などで手掛け、Transportationは州道や橋梁、空港など公共インフラ工事を中心に地域密着で受注しています。Buildingはテキサスを中心に住宅基礎や商業用コンクリート工事を展開し、近年の買収で住宅向け配管サービスなども取り込みながら高付加価値案件と地理的多様化を進めています。
経営方針
同社は長期的な成長と収益性の改善を目指しています。具体的には、Eインフラ事業(データセンター、先進製造、物流施設など)で大規模・高付加価値案件の獲得を拡大し、運輸関連では低入札の重公路案件から設計施工などの代替的な発注手法へ比率を移すことでリスク低減とマージン向上を図る方針です。実際に、同社は2016年時点で約79%あった低入札重公路の比率を2024年末には15%まで下げており、より高い利幅が期待できる案件は15〜18%の粗利を目標にしています。
同社は重点投資分野としてEインフラと住宅基礎・関連工事を挙げ、差別化は「規模の大きい現場対応力」と「入札の厳格化」で図っています。Eインフラはハイパースケーラーや共同運用事業者らの数年にわたる設備投資に依拠して成長を見込んでおり、住宅分野ではダラス・フォートワースで配管サービスを補完するために約5,669万ドル(約57百万ドルと報告)のProfessional Plumbers Group買収や、フェニックス地域でのConcrete Construction Services買収(約2,100万ドル)などでサービスを縦深に拡大しています。重公路の従来型案件は一般に粗利7〜8%程度だった一方、同社はより高利幅の工種へ重点を移すことで収益構造を変えています。
新市場開拓と事業拡大では、買収を通じた隣接市場への展開と地理的拡大を続けています。2016年以降で複数の買収を実行し、ターゲットは概ね粗利15%以上の事業が中心です。一方で、戦略的に不採算リスクを低減するための取組も行っており、例えばMyersとの合弁持分を対価1,800万ドルで売却して低入札の重公路や水処理関連からのエクスポージャーを縮小しました。また、2012年から50%出資していたRHBについては契約改定により連結処理を終了し、2025年1月1日以降は持分法での会計処理に移行するため、RHBの売上高は同社の連結売上に含まれなくなる点も投資判断で留意が必要です。
技術革新と運用面では、同社はプロジェクトごとの原価見積りを用いた進捗管理や内部統制の強化、安全教育の徹底で品質と収益管理を進めています。収益認識では「発生原価比率」による進捗測定を採用し、現場別のコスト見通しを精緻化して利益率管理を行っていることが明記されています。さらに新規買収企業を連結に組み込む際の開示や内部統制評価を継続実施しており、これらの運用力の向上が大型案件や設計施工型案件での競争力につながる施策としています。