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STERIS plcSTE
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事業内容
STERIS plcは病院や手術室、内視鏡センター、医療機器・製薬メーカー向けに滅菌や感染予防に関わる製品とサービスをグローバルに提供する企業です。消耗品や洗浄・滅菌機器、器具の修理・保守、外部での器具再処理サービスなど、現場の運用を支える包括的なソリューションを展開しています。
同社の主要顧客は医療機関と医療機器・製薬の製造事業者で、消耗品や保守契約による継続的な収入と、滅菌装置や手術用資本機器の販売によるまとまった収益の両方で収益を構成しています。地域的には世界各地に展開しており、各セグメントで特定の顧客依存が高くなることはなく(単一顧客が10%超になることはない)、安定した顧客基盤を持っています。
同社の事業は大きくHealthcare、AST、Life Sciencesの三つのセグメントに分かれます。Healthcareは病院の滅菌処理部門や手術・内視鏡向けの消耗品・器具、設備の販売とその保守・修理、外部再処理サービスを扱います。ASTは医療機器・製薬メーカー向けの受託滅菌と試験設備・制御システムを提供し、Life Sciencesは無菌製造向けの洗浄剤や除染装置、高純度水装置など規制の厳しい製造環境向けの製品とサービスに注力しています。
経営方針
同社は内部成長と戦略的買収の組み合わせで持続的な成長を目指しています。2025会計年度の売上高は54.6億ドル(前年から6.2%増)で、営業利益は8.666億ドル(前年から3.7%増)、営業利益率は約44.0%と改善しています。営業活動によるキャッシュは11.48億ドル、フリーキャッシュフローは7.87億ドルを確保しており、自己資本比率に対する負債は23.6%と堅牢です。同社は今後も「社内の製品・サービス開発」「生産能力投資」「必要に応じた買収」の三本柱で成長を図る方針で、株主還元として配当(2025年に1株当たり0.57ドルへ増配)や自社株買い(総枠50億ドル中残り3億ドルの枠)も継続しています。
同社が重点投資するのは医療現場向けの消耗品・保守サービスと、医療機器・医薬品メーカー向けの滅菌・試験サービスです。ヘルスケア分野では手術室や滅菌部門向けの機器・消耗品とその保守、ライフサイエンス分野では高純度水やバイオ向け消毒装置などを重点化しており、ASTと呼ぶ滅菌・試験網を通じた「試験から滅菌まで一貫で支援する」サービスで差別化を図っています。受注残高は約4.53億ドル(うちヘルスケア約3.69億、ライフサイエンス約0.84億)と安定した需要があり、消耗品や保守契約による継続的な収益基盤を重視しています。
新市場開拓と事業拡大では、戦略的買収と資産売却を組み合わせてポートフォリオ最適化を進めています。過去数年ではBDからの器具・容器資産取得に約5.4億ドルを投じ、2025会計年度にも複数の小規模買収で約5,414万ドルを投資しました。一方で歯科事業を7.875億ドルで売却し、借入金の返済に活用するなど資金効率を高めています。また、滅菌事業の原料であるコバルト60の供給リスクに対応するため、加速器(アクセラレータ)を用いた照射能力拡大にも投資しており、地理的には約250拠点・35カ国超のネットワークを活かして顧客近接型の展開を強化しています。
技術革新面では研究開発と知的財産に注力しており、米国特許607件、その他諸国で2,315件の特許を保有、出願も多数控えています。具体的には蒸気や過酸化水素を用いた除染装置、高純度水・蒸気発生装置、滅菌プロセスの監視・制御システムなどを開発し、製造者向けの工程検証・試験サービスと組み合わせることで競争優位を狙っています。加えて生産性向上とコスト管理のために組織再編や合理化を進めており、直近では約300名の削減やリストラ費用の計上を行って効率を高める取り組みも行っています。