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Shutterstock, Inc.SSTK
事業内容
Shutterstock, Inc.は写真、イラスト、映像、音楽、GIFやステッカーなどのデジタルコンテンツをライセンス販売するオンライン市場を運営しており、ユーザーが検索してダウンロードできるプラットフォームを提供しています。 同社はユーザーの検索・行動データを独自に蓄積して検索精度を高め、複数言語・通貨対応やAPI連携で他のソフトウェアにも組み込めるサービスを展開しています。
主要な顧客は広告代理店やメディア、企業のマーケティング部門、個人のクリエイターなどで、収益は定額のサブスクリプション、都度購入のライセンス、企業向け契約やAPI利用料が中心です。 同社は既存顧客のリピートが収益の大きな柱になっており、コンテンツ提供者へ支払うロイヤリティを差し引いた形で利益をあげています。
事業面では画像、映像、音楽といったコンテンツのマーケットプレイスに加え、GiphyやEnvatoなどの買収で提供範囲を広げています。 同社は投稿者向けのアップロード・審査・報酬管理やキーワードトレンドといった独自ツールを整備し、クラウドやコンテンツ配信網への投資で配信速度と安定性を高める取り組みを続けています。
経営方針
同社は持続的な収益成長と株主還元の両立を目指しています。直近では売上高が2022年の8.278億ドルから2023年に8.746億ドル、2024年に9.353億ドルへと着実に拡大しており、今後もこの成長トレンドを維持するために技術投資と選択的な企業買収を組み合わせて規模と収益性を高めようとしています。配当は2020年から四半期ごとに支払っており、株主還元の一環として2015年以降の自社株買いも継続的に実施、2023年に承認した1億ドルの買戻し枠は2024年末時点で約3,020万ドルが残っています。
同社はプラットフォームとコンテンツへの重点投資を差別化の柱としています。具体的には2024年に約8,840万ドルを製品・開発費に、約9,180万ドルをマーケティング費に投じており、検索精度の向上、コンテンツ収集、審査体制の強化、販売チャネルの拡充に資金を振り向けています。差別化の源泉は、ユーザーの検索やダウンロードの行動データを学習して検索結果を改善する独自の検索基盤や、投稿者向けの需要予測ツール(キーワード動向の可視化)など、利用者と投稿者の双方に価値を提供する仕組みです。
同社は新市場開拓と事業拡大を買収と製品の多角化で進めています。例として2023年にGiphyを買収して会話用コンテンツ領域へ入り、EnvatoやBackgridの買収は2024年の売上にそれぞれ約9,050万ドルと1,590万ドルを寄与しました。さらに2025年1月にはGetty Imagesとの合併合意を発表しており、合併後は顧客層とコンテンツの幅を大きく広げることで広告・制作・エンタープライズ向けの需要を取り込み、クロスセルとコストの相乗効果を狙っています。
同社は技術革新を通じてプラットフォームの安定性と開発速度を高めることを目指しています。クラウド基盤の活用やグローバルな配信ネットワークによってサイトの回復力と高速な配信を確保し、他社サービスと接続する仕組み(API)を整備して配信先を増やす取り組みを続けています。また、コンテンツ審査システムや検索アルゴリズムの改良に注力し、そのための人材確保・育成に注力している一方で、投資額の増加や優秀な技術者の採用・定着が今後の実行力を左右する重要課題であることを認識しています。