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SSR MINING INC.SSRM
事業内容
SSR Mining Inc.は金と銀を中心に採掘・生産する鉱山会社で、北米、中南米、トルコなど複数国で鉱山の開発・運営を行っています。同社は採掘した鉱石を処理して金の鋳塊(ドレ)や鉱物濃縮品などを生産し、市場で販売しています。
主要な顧客は精錬業者や金属貿易業者、場合によっては中央銀行などで、これらへの製品販売が売上の中心です。同社の収益は主に金の販売によるもので、銀や鉛・亜鉛などの副産物やロイヤルティ、資産売却による一時収入も収益源に含まれます。
事業は鉱山ごとのセグメントで管理しており、代表的な稼働先にはÇöpler(トルコ)、Marigold(米国)、Seabee(カナダ)、Puna(アルゼンチン)などがあります。同社は金鋳塊の販売に加え、鉱物濃縮品やその他金属の販売、さらには権利収入や資産の売却を通じて収益を多角化しています。
経営方針
同社は買収と探鉱を通じて資源基盤と生産規模を拡大することを目指しています。直近ではクランプル・クリーク&ビクター鉱山(CC&V)をニューモントから取得する契約を結び、買収金額は現金100百万ドル、さらに許認可延長等に連動する最大175百万ドルのマイルストーン支払いが想定されており、買収は2025年第1四半期の完了を見込んでいます。これに先立ちカルタルテペの持分を80%化(2022年に追加取得で150百万ドル支払い)し、セビー周辺の探鉱会社タイガ(買収対価約24.8百万ドル)なども取り込み、同社は外形的な資源増と早期の生産寄与を狙っています。一方で、2024年はÇöpler事案の影響で配当と自社株買いを停止しており、資本配分は当面、買収・開発・安全対策への投資を優先する方針です。
同社は地理的・品目の分散を重視した投資で差別化を図っているとしています。北米(米国コロラド、カナダ)、トルコ、南米など複数国で金を中心に銀・銅・鉛・亜鉛へ露出を持ち、地域ごとのプロジェクト特性に応じて得意な権益取得や運営権の獲得(例:Hod Madenでは10%出資ながら操業権を確保)でリスクと収益のバランスをとっています。加えて非中核資産の組換えも行っており、ペルーのSan Luisを5百万ドルで売却し追加のコンティンジェント支払い(最大37.5百万ドル)を設定するなど、ポートフォリオの最適化を具体的施策として実行しています。同社は内部統制の有効性を2024年12月31日時点で確認しており、外部監査人(PwC)による監査を受けるなどガバナンス面での透明性向上にも注力しています。
同社は新市場開拓と事業拡大を、権益取得+現場探査の組合せで進めることを目指しています。例えばHod Madenについては初期の10%取得に120百万ドルを投じ、さらに建設マイルストーンや追加埋蔵量(500,000金換算オンス超)に連動する最大で数千万ドル規模の追加支払い条項を持たせることで、見込み資源の増加に応じた価値実現を狙っています。新たな買収や共同開発を随時検討すると明記しており、将来の生産延長や地域ポジション強化に向けた資産取得が主要な成長ドライバーです。ただし同社自身も競争や規制、地元合意のリスクを認識しており、買収後の統合や現地対応コストに備えた慎重な実行が不可欠だとしています。
同社は技術革新と運用の堅牢化に継続投資することを目指しています。情報セキュリティでは外部フレームワークを参照したリスク管理体制を整備し、検知・復旧を重視した運用や「信頼しない」設計思想を採り入れるなど体制を強化しています。また探鉱や資産評価では収益割引モデルや市況に基づく評価を用い、買収時の公正価値算定やコンティンジェント対価の割引現在価値評価といった高度な手法を取り入れて意思決定の精度を高めています。さらに操業・安全・環境対応の改善に資本を振り向けることで、操業停止リスクの低減と長期的な価値創出を図る方針です。