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- SURMODICS INC
SURMODICS INCSRDX
事業内容
SURMODICS INCは、医療機器向けの表面改質技術や血管治療用デバイス、体外診断(IVD)関連の製品を開発・販売しています。同社は特に「パフォーマンスコーティング」と呼ぶ表面コーティング技術と、それを組み込んだカテーテルやバルーンなどの血管介入製品を主力としています。
主要な顧客は大手医療機器メーカーや医療機関で、アボットやメドトロニックなどとも取引実績があります。同社の収益はコーティング技術のライセンス料やロイヤルティ、自社製品の販売に加え、顧客向けの研究開発支援や技術サービスから成り立っており、ライセンスは多くの場合非独占で複数メーカーに供与しています。
事業は主にメディカルデバイスとIVDのセグメントに分かれ、メディカルデバイスでは血管介入用製品と性能コーティングを中心に展開しています。同社はコーティングで潤滑性や生体適合性、薬物送達などの機能を付与して顧客製品の差別化を図り、規制対応や臨床支援、製造面の統合といった技術サービスで顧客の製品化を支援しています。
経営方針
同社は「コーティング技術のライセンス収入」と「自社医療機器の直接販売」を併用して成長を図る二本柱戦略を掲げています。2024年度の連結売上高は約1億2,607万ドル(医療機器部門9,750万ドル、体外診断部門2,857万ドル)で、ライセンス料やロイヤリティ収入と自社製品の売上を組み合わせて中長期的な収益拡大を目指しています。直近では米国での直販体制強化のためにフィールドセールスを拡大したことで、2021年度のSG&A(販売費・一般管理費)約3,070万ドルから2024年度は5,680万ドルへ増加しており、同社はSG&Aを2024年度水準以上に維持しつつ、直接販売からの成長を実現することを目指しています。
重点投資分野は医療機器向けの表面改質コーティング技術と、これを組み込んだ血管治療用デバイスの開発です。同社は表面コーティングによりデバイスの送達性や生体適合性を高める技術を持ち、これを非独占的に複数の医療機器メーカーにライセンスすることでロイヤリティ収入を得る一方、自社では薬剤塗布型バルーン(DCB)や血栓回収デバイス、ラジアルアクセス用カテーテルなど差別化された製品群を投入しています。加えて製造、臨床評価、規制対応のための研究開発と生産能力に投資しており、これらの投資を通じて「技術+デバイス」の一体化で競合と差別化することを目指しています。
新市場開拓と事業拡大については、同社は従来のライセンス先経由の国際販売に加え、米国での直接販売チャネルをさらに活用し、既存顧客や第三者ディストリビューターとの協業も模索しています。製品パイプラインの商用化に向けては臨床試験(例:TRANSCEND試験)や規制承認、製造プロセスのバリデーションを進めており、これらが進捗すればライセンス料や製品売上の拡大を見込んでいます。一方で、2024年5月に発表した買収(1株当たり43.00ドルの合併提案)や米連邦取引委員会からの追加情報要請など、取引や規制プロセスが事業計画に影響を与える可能性があることも認識しており、必要に応じてクレジット枠の追加活用などで資金調達を行う方針です(2024年3月31日時点の時価総額は約4.01億ドル、発行済株式数は14,326,000株)。
技術革新に対しては、同社は基礎研究から製品化、臨床・規制支援まで一貫して投資を継続する方針です。具体的には、医療機器メーカーが規制申請で参照できる形で米国FDA向けのデバイスマスターファイルを管理し、顧客向けの適合性試験や臨床サポートを提供するとともに、自社製品の臨床データ構築に注力しています。さらに製造プロセスの効率化や在庫管理、営業・臨床サポート体制の強化を通じて新製品の市場投入を加速し、薬剤送達や生体適合性の分野で技術的優位を維持することを目指しています。