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SRAX, Inc.SRAX
事業内容
SRAX, Inc. は、公開企業とその株主・投資家間のコミュニケーションを改善することに特化したテクノロジー企業です。主力サービスはSequireというクラウド型プラットフォームで、株主の行動や保有状況を追跡し、データに基づく示唆をもとに投資家向けの発信を支援しています。
同社の主要な顧客は上場企業やその投資家対応部門で、特に規模の小さい銘柄のIR支援に強みを持っています。収益はプラットフォームのライセンス料、独自データの販売、投資家向けイベントの参加・スポンサー料、ならびに分析やコンサルティングサービスから成り立っています。
事業の中身はSequireプラットフォームを中心に、リアルタイムの取引傾向や株主構成の可視化、ターゲットを絞った広報キャンペーンの実行支援などの機能を提供している点が特徴です。かつて同社が運営していたLD Microの投資家カンファレンス事業は2023年に売却した一方で、Sequire連携の独自イベントやコンサルティング、データターゲティングサービスを継続して展開しています。
経営方針
同社は主力のSequireプラットフォームを軸に収益拡大と黒字化を目指しています。直近の通期売上は2022年で2,785.9万ドルと前年から約4.3%増加しましたが、同時に2022年の純損失は3,163.8万ドル、営業活動による純資金流出は1,232.7万ドルと財務面では課題が残っています。現金・現金同等物および有価証券は2021年の1,696.5万ドルから2022年に919.3万ドルへと約45.8%減少しており、同社は運転資金確保のため追加資金調達を直ちに行う必要があると自認しています。
同社が重点投資する分野はデータと分析、イベント運営、そして知的財産の保護です。Sequireは発行企業の株主行動やトレンドを解析し、メールやソーシャルメディア、地域広告など複数チャネルでのターゲット配信を可能にするソフトウエアをライセンス提供しており、ハイパーに特化した投資家インサイトを差別化要因としています。差別化の具体策として、カスタムLP(着地ページ)によるコンバージョン最適化や、リアルタイムの取引データやワラント・オプション台帳の統合など機能強化を進めています。また、米国で8件の特許出願を行うなど技術と権利保護にも投資しています。
事業拡大では、従来のイベント事業(LD Micro)は2023年3月に売却した一方で、同社独自のカンファレンスをSequireに統合してイベント収益を回復・拡大する計画です。既にプエルトリコでの「Sequire Investor Conference」を年次開催しており、バーチャル/ハイブリッド形式での決算発表や株主総会、ロードショーなど企業向けイベントのラインナップを増やすことで、ライセンス料・データ販売・参加・スポンサー収入の複合的な収益基盤を構築しようとしています。さらに、2023年2月のDNA Holdingsからの資産取得では現金1,000,000ドル、顧客データベース評価約238.6万ドルなどを取り入れ、顧客獲得とマーケティング資産の拡充を図っています。
技術革新に関して同社は機械学習を含む分析機能の強化とデータ品質の向上を優先しています。具体的には投資家行動の予測モデルやキャンペーン効果測定ツールを整備し、広告配信の最適化や着地後の行動トラッキングでROIを高める取り組みを行っています。知的財産は特許出願・営業秘密・秘密保持契約で保護しつつ、外部の評価専門家を活用して市場性の低い有価証券評価やデータ資産の価値算定を実施しています。ただし、現状は資金繰りの制約が投資余力を制限しているため、同社は開発優先順位を設定してキャッシュ効率の高い施策から実行する方針です。