SciSparc Ltd.SPRC

時価総額
PER
医薬品開発とヘルスケアeコマースの有力企業。ヘンプ系ブランドWellution™を中心にサプリや美容品のD2C販売を展開。2022年9月30日に459万ドルでブランド買収、2023年1月25日に再編計画を策定、2023年6月25日にNIS2,500,000出資。米国製造、米・欧・イスラエル展開。

事業内容

SciSparc Ltd.は、創薬や医療向け技術の研究開発と、消費者向けのオンライン販売を両輪で展開する企業です。同社は睡眠関連の技術開発や医薬品候補の研究を進める一方で、ヘンプ由来のサプリや美容関連製品をブランドとしてオンラインで販売しています。

主要な顧客は一般消費者で、特にAmazonなどのマーケットプレイス経由での直接販売が売上の中心です。医薬品・医療技術はまだ研究開発段階であるため、当面は提携先や第三者との協業・ライセンスを通じて収益化を目指します。

事業は大きく、消費者向けのeコマース事業と創薬・医療技術開発の二本柱で構成されています。加えて、睡眠技術を扱う子会社への出資や合併・再編の検討などで事業の拡大と収益基盤の強化を図っています。

経営方針

同社は短期的には財務の安定化と事業ポートフォリオの多様化を目指しています。2024年末時点の手元資金は約150万米ドルで、同年の営業損失は約730万米ドル、営業活動によるキャッシュフローはマイナス510万米ドルと報告されており、少なくとも年度内の資金調達が不可欠です。具体的な施策としては、自社での販売開始(例えばPEA配合の経口錠剤「CannAmide™」の流通契約締結によるカナダ国内での販売拡大)を進めつつ、パイプラインの一部を外部にライセンスアウトすることで早期収益化を図る方針です。さらに、事業再編案として製薬部門を分社化(NewCo)し上場を検討するなど、資金調達と価値実現の両面を追求しています。

重点投資分野では、がんなどの治療薬探索に注力するMitoCareXや、サイケデリック由来の治療薬を手がけるClearmindへの出資を含むバイオ投資を重視しています。Clearmindには2022年11月に150万米ドルを出資し当時の発行済株式の約9.33%を取得した実績があり、MitoCareXは同社報告時点で約52.7%を保有していました。また、自社の候補であるSCI-160プログラムについては2024年8月にPolyrizonへ独占的に特許ライセンスを供与するなど、資本と知財の組み合わせでリスクを分散しつつ技術価値の実現を図る差別化を取っています。これらは自前での大規模臨床や製造投資を抑えつつ外部資源を活用する戦略の一環です。

新市場開拓と事業拡大では、既存の医薬開発に加え電子商取引(AmazonマーケットプレイスでのWellutionブランド)を取り込むことで短期的な収益基盤を整えています。Wellutionの買収には459万米ドルを支払い、同ブランドを保有する子会社(SciSparc Nutraceuticals)を通じて日常消費財チャネルでの販売強化を図っています。また、AutoMaxとの合併交渉や資本参加も進めており、合併が完了すれば当該事業は子会社化される見込みで、合併完了の想定時期は2025年9月30日までとされています。これらの動きは製薬と消費財という異なる収益源を同時に育てることで事業全体の耐性を高める試みです。

技術革新への取り組みとしては、睡眠技術のSCI-110など自社パイプラインの開発継続に加え、外部との共同研究やライセンス供与を積極的に活用しています。臨床試験の実施や原薬・製剤の製造は外部委託に依存しており、被験者登録や製造品質の確保が課題となる一方で、PolyrizonへのSCI-160ライセンス供与やClearmind投資などで開発リスクと資金負担を分散しています。同社は限られた人員での開発体制を補うため、マネジメントの拡充や外部コンサルタントの活用、選択的なライセンス戦略によって技術価値の最大化を目指しています。