STEEL PARTNERS HOLDINGS L.P.SPLP

時価総額
$8億
PER
産業・エネルギー・金融・サプライチェーンなどを擁する多角的持株会社の有力企業。銀行によるカード・ローンとサプライチェーンサービスを展開。2008年設立2019年4月のNational Partners買収と2023年5月1日のSteelConnect株式交換で子会社化。北米・欧州・アジアを中心に展開。

事業内容

STEEL PARTNERS HOLDINGS L.P.は多様な業種に投資・出資して複数の事業会社を保有・運営するグローバルなホールディングカンパニーで、買収や経営支援を通じて傘下企業の企業価値向上を目指しています。 同社は各子会社に対して経営管理や人材、法務・財務などの支援を行い、グループ全体のシナジーを図っています。

同社の収益は製品販売やサービス提供、金融事業による利息・手数料収入などで構成されています。 顧客層は製造業や建設業、石油・ガスの探査・生産会社、小売・電子機器メーカー、保険仲介業者や消費者向けのローン提携先など多岐にわたり、直販、代理店、卸、提携マーケティングパートナーやプライベートラベル契約など複数のチャネルで売上を獲得しています。

同社は主にダイバーシファイド・インダストリアル、エネルギー、金融サービス、サプライチェーンの四つのセグメントで事業を展開しています。 ダイバーシファイド・インダストリアルではろう付材料や鋼管、建築用資材、性能材料、電気関連製品、切断刃や特殊フィルムなどの製造・販売を行い、エネルギー部門は井戸の完成作業や保守・生産支援サービスを提供、金融部門は州認可の銀行を通じてローンやカード、保険料ファイナンスを提供し、サプライチェーン部門は世界規模での物流・フルフィルメントや電子商取引支援を行っています。

経営方針

同社は長期的に企業価値の向上を目指しています。成長の中心には積極的な資産配分と買収・再編を据えており、剰余資本は配当ではなく自己株式の買戻しや事業投資に振り向ける方針です。具体的には最大9,520,240ユニットまでを想定した買戻しプログラムを承認しており、計画開始以来8,901,451ユニットを約210,418千ドルで取得済み、2024年には年内で合計2,360,634ユニットを約109,411千ドルで買い戻しています(注:同社10‑Kは金額を千ドル単位で表示)。また、手元の資本調達枠を活用できるよう、2024年末時点でシニア・クレジット枠から約470,000千ドルの借入余地を確保しており、配当を支払わない方針を掲げることでフリーキャッシュフローを成長投資と資本効率改善に充当しています。

同社は重点投資分野として「多角的工業製品」「エネルギー」「金融サービス(WebBank)」および「サプライチェーン(ModusLink)」の四本柱を掲げています。事業ごとにニッチで高い市場シェアを持つ製品群(たとえば精密なはんだ・ろう材、ステンレス・チューブ、特殊フィルム、電力関連部品など)に注力し、原材料価格の変動に対しては取引所での先物・フォワードやコンシグメント(預託)でリスクヘッジを行うなど、仕入れ面での差別化を図っています。金融分野ではWebBankを通じたマーケティングパートナー連携型のローン組成や保険料ファイナンスで手数料収益を確保し、サプライチェーン領域ではModusLinkのグローバル拠点を活かした受託型サービスで顧客の「市場投入速度」「カスタマイズ」「コスト・品質」改善を提供して付加価値を高めています。

新市場開拓と事業拡大は、買収・統合を主要手段とする「拡張型」戦略です。同社は機会ある事業を選別して戦略的買収や機能統合を実行しており、実例として2023年5月のSteel Connectに関する交換取引では総対価約248,653千ドルを投じて連結対象を拡大しました。保有する不動産・施設網は世界90拠点で、自己保有25拠点(約2.1百万平方フィート)と賃借65拠点(約3.0百万平方フィート)を運用しており、既存の販売網や製造能力を活かして新規地域や隣接分野へ横展開する計画をとっています。また、買戻しによるユニット数の縮小と内部資本の効率化を通じて一株当たり価値の向上を図る資本政策を継続しています。

技術革新については、製品の高付加価値化と業務のデジタル化を同時に進めています。特殊フィルムや高性能繊維などの開発技術は無形資産として保有しており(開発済技術の帳簿価額は約33,312千ドル、減価償却後の純額は約6,464千ドル:10‑Kより)、ModusLinkのデジタルコマースやWebBankの提携型デジタル貸出スキームなど、顧客接点をITで強化する取り組みを進めています。加えてサイバーセキュリティ対策にも注力しており、社内のインシデント対応チームや外部専門家との連携体制を整備しているほか、製造現場では自動化や工程改善による収益性向上を図っています。