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Virgin Galactic Holdings, IncSPCE
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事業内容
Virgin Galactic Holdings, Incは、民間向けと研究・政府向けの有人サブオービタル宇宙旅行を主力とする航空宇宙企業で、再利用可能な宇宙船と高高度母機を使った短時間の宇宙体験を提供しています。同社は次世代機のデルタクラスを開発・製造しており、運航頻度の向上とコスト低減を図りながら商業運航を目指しています。
主要な顧客は富裕層の個人旅行者に加え、大学や研究機関の実験搭載、政府機関の研究・訓練ニーズなどが中心です。収益は乗客向けチケット販売が基本で、機体やロケットモーターの製造・供給、将来的には技術提供や受託開発などによる売上拡大も見込んでいます。
事業の中身は大きく、商業有人宇宙飛行の運航、宇宙船・母機の設計・製造・試験、そして第三者向けの開発・製造サービスの三分野に分かれています。同社はアリゾナの組立拠点やモハーヴェのロケット工場・試験施設、カリフォルニアの設計拠点を活用して設計から飛行試験まで一貫して行い、技術の民間転用や外部案件の受注拡大を狙っています。
経営方針
同社は商業宇宙旅行を再開して収益化に転じることを成長の最優先課題としています。具体的にはスペースフライト事業の再開を2026年に見込み、次世代スペースシップ「Delta Class」の開発と量産化で運航頻度を高め、長期的には費用構造を改善して収益性を確立することを目指しています。資金面では過去数年で複数の「at‑the‑market」公募を実施し、2022年のプログラムで約3億ドル、2023年のプログラムで約3.96億ドル(総額約12.8百万株の売却)、2024年プログラムでも継続的に資金調達を行うなど、運転資金と開発投資の確保を図っています(現時点で発行済株式は約3,552万株、2024年6月時点の非関連株主による時価総額は約1.887億ドル)。
同社は重点的に自社製造能力と設計力に投資することで差別化を図っています。具体策としてアリゾナに約150,000平方フィートの次世代機組立施設を整備し、トゥスティンの設計・エンジニア拠点(約100,000平方フィート)やモハーベのロケットモータ工場とホットファイア試験設備を活用して、ロケットモータの内製化や量産プロセスの標準化を進めています。これにより同社は試作のスピード感を維持しつつ生産安定性を高め、1機当たりの製造コスト低減を実現することを狙っています(参考:2023年の設備投資は約4,430万ドル)。
同社は新市場の開拓と事業拡大にも取り組んでいます。まずはニューメキシコ州のSpaceport Americaでのスパライン運航や艦隊(スペースシップとキャリア機)の拡大を進める計画で、商業旅客に加えて研究機関や政府機関向けのフライト提供や実験搭載サービスを強化する方針です。さらに自社の設計・試作ノウハウを他社の開発案件や政府向けプロジェクトに活用することで、新たな収益源を模索しており、戦略的提携や受託開発の可能性を検討しています。
同社は技術革新を継続投資の中心に据えています。Delta Classの飛行試験や安全性検証、ロケットモータの実地試験を通じて信頼性を高めることを優先し、設計から量産への移行を効率化するためのプロセス改善に注力しています。研究開発の進捗に伴うコストとタイミングは不確実性を伴うものの、同社はスケールメリットで製造コスト低減を図りつつ、知的財産や試験設備を活用して市場での競争優位を維持することを目指しています。