Snail, Inc.SNAL

時価総額
$3386.4万
PER
ビデオゲームの出版・開発の大手。ARKフランチャイズ(インストール9,480万、プレイ時間39億時間)、UE5対応MODプログラム、NOIZプラットフォームを展開。2022年11月のIPO、2024年のアニメ化。北米・欧州中心の展開。

事業内容

Snail, Inc.は主に大作(AAA級)のビデオゲームを開発・出版する企業です。代表フランチャイズのARKシリーズを中心に、自社の開発パイプラインと独自技術を活用して高品質なゲーム体験を生み出しています。開発スタジオとの協業やモッド支援など、クリエイターが自由に作れる仕組み作りにも注力しています。

同社の主要な顧客は、PC・家庭用ゲーム機・モバイル向けのプレイヤーと、共同開発を行う独立系スタジオ、さらに広告やプロモーションで連携するブランドです。収益はゲーム本体の販売や追加コンテンツ(DLC)、ライセンス・出版契約が中心で、インフルエンサー連携やプラットフォームを通じたeコマース収入も重要な収益源になっています。

事業は大きく出版(パブリッシング)、共同開発、技術プラットフォームの三領域で構成されています。出版部門はARKやAtlas、Last Oasisなどのタイトル運営を担当し、共同開発では独立スタジオへ出資や支援を行って作品化を進めます。技術面ではNOIZというマイクロインフルエンサープラットフォームやモッド支援プログラムで創作者とユーザーを結び、マーケティングと収益化の連携を強化しています。

経営方針

同社はARKフランチャイズを成長の軸に据え、売上拡大とユーザー基盤の拡大を目指しています。実際に2024年の純売上高は約84.5百万ドル($84.47M)に達しており、ARKシリーズはコンソール・PCで累計約94.8百万インストール、Steam上での総プレイ時間は約39億時間といった強力な収益源を抱えています。短期的には既存フランチャイズでのDLCや継続的なコンテンツ投入を通じて売上を安定化させ、中長期的にはインフルエンサー経由のマーケティングやプラットフォーム拡大で新規ユーザー獲得を加速することで成長率の回復と拡大を図ろうとしています。

同社は研究開発とプラットフォーム投資に重点を置き、差別化を図っています。2024年の研究開発費は約11.65百万ドルで、先端レンダリングやサーバー運用、開発パイプラインなどコア技術に投資を継続しています。独自のマイクロインフルエンサープラットフォーム「NOIZ」や、Unreal Engine 5を活用するモッド支援プログラムのように、開発者やクリエイターに直接価値を還元する仕組みを整備しており、創造性を重視する共同開発モデルと創業者であるMr. Shiへの直接アクセスを競争上の差別化要素としています。加えて、外部委託での開発完了を支援するために関連会社と $4.1M の開発契約(2025年1月開始、月額約$340,600の12回分割支払)を締結するなど、実行面でも投資を進めています。

同社は新市場の開拓と事業拡大を積極的に進めています。ゲーム配信に加え、アニメ、テレビ、eスポーツ、ストリーミングといった二次収益化チャネルへ展開し、既に2024年には「ARK」アニメ化の取り組みも行っています。事業拡大の手段としてはスタジオやパブリッシャー、エージェンシーの買収を検討しており、成長のための資金調達手段としては最大$5.0Mまでのエクイティラインや、2025年2月に発行した$3.3Mの転換社債(利率5%、初期転換価格$5.00、10%ディスカウントで発行)などを活用しています。一方で、対外投資や買収はCFIUS審査等の規制対応が必要となる可能性があるため、それらを踏まえた戦略的判断を行っています。

同社は技術革新とセキュリティの強化にも注力しており、AIや自動化ツールを開発プロセスに取り入れて生産性を高めることを目指しています。具体的には画像や映像生成、フォトグラメトリ、テクスチャ強化やコード生成支援ツールなどのAI活用を進め、Unreal Engine 5対応のモッド流通などでユーザー創作を収益化する仕組みを整備しています。加えて、過去に指摘された財務報告上の内部統制の弱点は第三者専門家の導入や開発されたプロセスにより2024年末時点で是正済みとし、サイバーセキュリティ面ではNISTフレームワークに準拠した対策や取締役レベルでの監督体制を強化するなど、技術投資を支えるガバナンス整備も同時に進めています。