SharkNinja, Inc.SN

時価総額
PER
小型家電の米国最大手。掃除機、キッチン家電、ビューティー機器など36のサブカテゴリで商品開発とDTC・小売りのオムニチャネル販売を展開。2023年7月に日本子会社を8.0百万ドルで売却、2024年12月31日時点の従業員数は約3,688人。米国・欧州・アジアを中心に展開。

事業内容

SharkNinja, Inc.は家庭向けの小型家電を設計・販売する企業で、SharkとNinjaというブランドで掃除機、ブレンダーやフードプロセッサー、エアフライヤー、ヘアケア製品や空気清浄機など幅広い製品を展開しています。同社は機能性とデザインを重視し、競争力のある価格帯で消費者に訴求する製品開発を進めています。

主要な顧客はWalmart、Amazon、Target、Best Buyといった大手小売業者と、同社の直販サイトを通じた消費者で、販売チャネルは小売とダイレクト・トゥ・コンシューマー(直販)を併用するオムニチャネル戦略を採用しています。同社は製品販売により収益を上げ、販促支援や返品・季節変動が売上に影響を与えます。

事業は大きく清掃機器、調理・飲料機器、食品調理機器、ビューティー・室内環境機器の4分野に分かれており、各分野で複数のサブカテゴリ製品を展開しています。同社は自社で設計・エンジニアリングを行い、製造は主に中国や東南アジアの外部工場に委託して供給網の柔軟性とコスト競争力を確保しています。Sharkブランドは米国の掃除機市場、Ninjaブランドは小型キッチン機器市場で強い販売実績を持ち、市場シェア拡大を目指して継続的に新製品を投入しています。

経営方針

同社は持続的なグローバル成長を目指しています。具体的には既存の主要カテゴリでのシェア拡大と新規カテゴリへの段階的な参入を両輪に、売上と利益の拡大を図っています。実績としては、Sharkが米国の床用クリーナーで、Ninjaが小型キッチン家電でそれぞれドル売上首位を継続しており(Circanaデータ)、製品は合計36のサブカテゴリに展開しています。従業員数は2021年の約2,619人から2024年に3,688人へ増加しており、人員・販路・商品ラインの拡大を通じて成長を実現しようとしています。

同社は研究開発と販売・マーケティングへの重点投資を行い、差別化を図っています。具体的施策としては、米国、英国、中国に拠点を置くグローバルな製品設計チームと、700名超のエンジニア・デザイナーによる開発体制を構築し、継続的な製品改良と迅速な反復開発で他社と差別化しています。生産面では長期的な工場パートナーシップ、製造の柔軟性、主要海運業者との関係を活かして競争力のある輸送費を確保し、金型や治具など設備投資も積極的に行っている(開示上は金型・治具に約2.68億ドルの計上)ことで、品質を維持しながらコストを抑える取り組みを進めています。

新市場開拓や事業拡大については、既にヘアドライヤーなどビューティー分野への参入で価格帯別トップを獲得するなどカテゴリー拡張で成果を出しており、今後も地域別に最適化した商品投入とオムニチャネル戦略で販路を拡大する計画です。チャネル面では大手小売(Walmart、Amazon、Target、Best Buy等)と自社直販(自社サイト)を併用し、店頭・デジタル・テレビ等のストーリーテリングを通じて認知と需要を高める方針です。また、成長機会として適合する企業や技術への買収・出資も検討しており、買収による機能拡充を成長戦略の一部に位置付けています。

技術革新への取り組みでは、製品設計から素材選定、製造プロトコル、品質保証まで一貫した開発プロセスを運用し、ソフトウェアやセンサー、ロボット技術、クラウド連携を含む幅広い技術領域に投資しています。常時消費者インサイトを取り込み、既存製品の価値向上とコスト低減を同時に進めることで製品寿命を延ばし、市場での競争優位を維持することを目指しています。