Simply Good Foods CoSMPL

時価総額
$20.3億
PER
栄養系スナックの最大手。低糖質・高タンパク商品とQuest、Atkins、OWYNブランドを展開。2024年6月にOWYNを現金約2.82億ドルで買収。米国・カナダ中心、豪州・NZで展開、国際売上2.5%。

事業内容

Simply Good Foods Coは、低炭水化物・低糖質で高たんぱくを訴求するスナックやシェイクを主力に、クエスト、アトキンス、OWYNなどのブランドを展開する食品会社です。プロテインバーやチョココーティング菓子、飲料タイプのプロテインなど、手軽に栄養を補える製品を中心に販売している。

同社は大手小売を通じた販売が中心で、売上のかなりの割合を少数の大手小売に依存している。直販や自社ブランドサイト、アマゾンなどのeコマースも成長チャネルとして重要で、2024年度はウォルマートやアマゾンが大きな比重を占めている。

事業はブランド別の製品ラインを軸にしており、既存商品の改良や新フレーバー・新形状の投入で成長を図っている。製造は外部の契約工場を活用する資産効率の高いモデルを採用し、2024年のOWYN買収で植物由来製品の品ぞろえを強化したほか、マーケティングと商品開発に注力して顧客層の拡大を目指している。

経営方針

同社は「栄養的スナッキング」のリーダーになることを目指しています。直近の通期では純利益が約1億3,930万ドル、調整後EBITDAは前年比で2,360万ドル(約9.6%)の増加といった実績があり、広告投資や新規事業の取り込みを通じて世帯浸透率を高めることを成長の主要な目標に据えています。資本政策では、2018年に設定された買戻し枠を段階的に拡大し合計1億5,000万ドルのリパーチェス枠を維持しているほか、2024年6月のOWYN買収(買収対価約2億8,190万ドル)は借入(約2億5,000万ドルのターム増加)と手元資金で賄うなど、成長投資と財務の両立を図っています。

同社はブランドと製品差別化に重点投資を行っています。販売・マーケティング費用の約72%を広告に振り向け、消費者教育やデジタル接点を強化することでブランド認知とロイヤルティを高めています。研究開発には専任の人員(約100名)を配置し、味・食感を損なわずに糖質を抑えた低炭水化物・高タンパクの配合や、OWYNのような植物性ラインの開発を進めています。製造は資本負担の小さい委託生産モデルを採用し、レシピや製品仕様を自社で保有することで品質管理と迅速な商品化を両立させています(食品安全のための第三者検査やISO22000等の管理も実施)。

新市場開拓と事業拡大では、買収によるプラットフォーム拡張を明確な戦略としています。OWYN買収ではブランドの無形資産を約2億2,300万ドル、顧客関係を約2,050万ドルとして認識しており、これにより植物性カテゴリへの参入を加速しました。流通面では既存の大手小売チャネル(例:Walmartが売上の約31%、Amazonが約18%)に加え、利便性の高いコンビニ・クラブストアやEコマース(QuestのEコマース比率は約22%、Atkinsは約17%)といった“ホワイトスペース”への拡大を狙っています。また、体重管理薬を利用する層への補完的な利用提案など、新たな消費者ニーズに対応するマーケティングも進めています。OWYNの物流・倉庫(約20万平方フィート)は既存インフラ(同社は物流で合計約129万平方フィートを活用)との統合を検討中で、流通効率化も図ります。

技術革新については、製品イノベーションと情報システムの双方に投資しています。社内のR&Dラボでレシピ開発を迅速化するとともに、ERPを含む業務システムやデータ分析を活用して需要予測、供給網の最適化、消費者インサイトの取得を進めています。サイバーセキュリティは監査委員会で四半期ごとに報告を受ける体制を敷き、クラウドや外部委託先に預ける顧客データ保護にも注力しています。一方で手作業プロセスの自動化や基幹システムの強化が成長のボトルネックになり得ると認識しており、これらの改善にも継続投資を行う方針です。