Super Micro Computer, Inc.SMCI

時価総額
$187.6億
PER
Total ITソリューションの米国最大手。ラック規模のサーバー・AI・ストレージ製品を展開。2025年7月に上限17.9億ドルの売掛債権枠を設定。米国・台湾・オランダ・マレーシアなど100カ国超展開。

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企業概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Super Micro Computer, Inc.は、企業やクラウド事業者、AI(人工知能)や高性能計算(HPC)向けに、サーバーとストレージを中心とした「Total IT Solutions」を設計・製造・販売している企業です。特にラック単位での一体型ソリューションや、ワークロードに合わせて組み替えられる「ビルディングブロック」方式で、導入時間短縮と性能最適化を図っています。

同社は世界100か国以上、千社を超える顧客に販売しており、直接販売と代理店・流通を組み合わせたチャネルで収益を上げています。大口クラウド事業者や大手企業、OEM向けの大規模案件に依存する傾向があり、保守・サポートや延長保証などのサービスが継続的な収入源になっています。

製品構成はラックスケールのサーバー、AI向け加速機能を備えたシステム、ストレージ、ワークステーション、ネットワーク機器や管理ソフト、現地設置や保守を含むサービスまで幅広く揃えています。研究開発と主要部品の設計は米国や台湾で行い、米国・台湾・欧州・マレーシア等の拠点で組立や品質管理を実施するとともに、主要半導体ベンダーと協業して最新世代の技術に合わせた製品展開を進めています。

経営方針

2025会計年度における同社の成長戦略は、まず売上高と収益性の拡大を重視しています。実績として2025年の売上高は約220億ドル(前年比+46.6%)に達し、同社は今後も売上高拡大と1株当たり利益の向上を目指しています。財務面では粗利益率が13.8%から11.1%に低下した点を踏まえつつ、市場シェア拡大のための競争的な価格設定と高付加価値の製品投入で規模の拡大を狙い、営業・管理費や研究開発投資を増やしながらも長期的な収益性改善を目標にしています。

重点投資分野は研究開発と人材の強化、並びにセールス・マーケティングの拡充です。具体的には製品開発費が前年に比べて約2,830万ドル(+78.3%)増加し、研究開発費全体や人件費も大幅に増加しているため、同社は次世代製品と技術の市場投入を加速することを目指しています。また営業面では従業員関連費用が約5,350万ドル増、広告・販促費が約5,000万ドル増といった投資により、大口顧客やデータセンター向けの受注拡大を狙っています。差別化要因としてはモジュール式の「Building Block」設計や独自のマザーボード・電源・シャーシ設計、米国など自社製造拠点による迅速なカスタマイズ対応を掲げています。

新市場開拓と事業拡大については、特に人工知能(AI)や大規模データセンター、5G/エッジ領域に注力しています。ラック単位でシステムを一体化するデータセンター向けのソリューション(DCBBS)を前面に押し出し、ソフトウェアや現地展開サービス、保守サービスの拡充でソリューション売上の比率を高める方針です。資金面の施策としては、2025年6月に1株当たり40.89ドルで4,891,171株、約2億ドル相当を取得して消却したほか、運転資金確保のため2025年7月に最大約17.9億ドルの売掛債権買戻し枠を設定するなど、成長投資とキャッシュ・フロー管理を両立させる計画を進めています。

技術革新への取り組みでは、サンノゼと台湾を中心とした社内開発を基盤に、NVIDIA、Intel、AMDなど主要コンポーネントベンダーと連携して最新GPUやプロセッサ、ストレージ技術への迅速な対応を図っています。研究開発費は引き続き上昇傾向にあり、同社は技術面での「ファースト・ムーバー」優位を維持することを目指しています。加えて省電力設計や液冷を含む冷却技術、品質管理(ISO認証等)やサイバーセキュリティ対策にも投資を続け、顧客の導入工数を削減する統合ソリューションで差別化することを志向しています。