iShares Silver TrustSLV

時価総額
$352.1億
PER
銀価格に連動する上場信託の最大手。物理銀保有に基づくETFを展開。2024年末の銀原価総額は11,628,353,352ドル。2024年のスポンサー料は63,272,642ドル。2025年1月31日時点の発行済み株式数489,650,000株。米国中心のグローバル展開。

事業内容

iShares Silver Trustは物理的な銀を保有し、その価値に連動する上場投資信託(SLV)として投資家向けに株式を発行しています。同社は銀価格の値動きを反映する手軽な投資手段を提供しており、現物銀を個別に保管する手間を省いて取引できます。

同社の利用者は個人投資家や機関投資家、取引の仲介を行う登録済みの証券会社(オーソライズド・パーティシパント)などです。収益は保有資産の値上がり益から直接得るのではなく、信託の運営に伴う手数料やスポンサーフィーで賄われており、2024年のスポンサーフィーは約6,327万ドルでした。

事業の中身は単一の信託商品が中心で、具体的には現物銀の保管、創設・償還の仕組み、証券取引所での上場・二次市場取引の三つが主軸です。創設・償還は50,000株単位の“バスケット”で現物銀と交換する方式を採り、銀は主要な保管拠点(ロンドンやニューヨーク等)のカストディアンで分別管理されています。

経営方針

同社は資産規模の安定的な拡大を目指しています。公開情報によれば、2025年1月31日時点で発行済み株式数は489,650,000株に達しており、2024年通年では293,550,000株の発行と261,600,000株の償還を通じて純増31,950,000株を実現しました。また、2024年6月30日時点で非関連者保有の時価は約128億4,141万6,000ドルとなっており、同社はこれらの需給を通じて信託資産(AUM)の拡大を図っています。運営面では2024年のスポンサー費用が約6,327万2,642ドルに達しており、費用対効果を念頭に置いた成長を志向しています。

同社は物理銀への直接保有と低コスト構造を重点投資分野とし、ここで差別化を図っています。信託は実物の銀地金を保有し、銀はロンドンやニューヨーク等の保管拠点で割当て管理されているため、他の金融商品と比べて「裏付け資産が実物である」点を強みとしています。発行・償還は50,000株単位のバスケットで行われ、2024年10〜12月にかけて第4四半期だけで71,850,000株(1,437バスケット)が償還されるなど、認可参加業者を通じた裁定取引で市場価格と純資産価値の乖離を抑える仕組みを整えています。信託自体の直接的な経費はスポンサー料が主要な支出であり、それ以外の費用は限定的です。

同社は新規投資家や市場の裾野拡大にも注力しています。上場はNYSE Arcaで行われ、個人投資家は一般的な証券口座を通じて売買可能であることに加え、信託は米国の個人向け退職口座(IRA等)での保有に関して私的書簡での取り扱いが示されており、退職資金の運用対象としてのアクセス向上を図っています。決済・保有の受託者制度や複数の保管拠点の存在、さらにDTC参加者が記録上約162名(2024年12月31日時点)いることは、流動性と市場到達性の拡大につながる具体的施策です。ブラックロックの販売網や運用基盤を活用し、機関とリテール双方への展開を進めています。

同社は取引の信頼性向上と技術面の強化にも投資しています。スポンサー側ではETFの取引基盤や運用業務の設計を担う製品エンジニアリング部門や市場運営チームを整備しており、これまでに取引プラットフォームや運用・決済の業務慣行を構築してきました。また、サイバーセキュリティ面では最高情報セキュリティ責任者(CISO)を中心にリスク管理委員会や技術リスク委員会が定期的に報告を受け、外部専門家による評価も実施しています。具体例としてCISOは30年の技術経験を有し、これらの体制を通じて売買の安全性と運用継続性の確保を目指しています。