Stabilis Solutions, Inc.SLNG

時価総額
$8610.1万
PER
LNGの生産・貯蔵・輸送・給油ソリューションの北米最大手。小規模LNGの液化設備、トラック配送による供給網を展開。40%出資の中国合弁を保有、創業21年で5.3億ガロン超を配送。米国・カナダ・メキシコで展開。

事業内容

Stabilis Solutions, Inc.はエネルギー転換を掲げ、液化天然ガス(LNG)を中心にクリーンなエネルギーの生産、貯蔵、輸送、給油までを一括して提供する事業を行っています。21年の運営で5億3,000万ガロン以上を55,000回以上のトラック配送で納入した実績があり、北米の小規模LNGプロバイダーの一角を占めています。

同社の顧客は航空、農業、産業、海運(バンカリング)、鉱業、パイプライン、遠隔電源、公益事業など多岐にわたります。収益はLNGの販売・配送、低温機器のレンタル、エンジニアリングや現場支援サービスから成り、個別販売とパッケージ提供の両方で契約形態を選べます。

事業の中核は自社で建設・運営する液化設備によるLNG生産と、その後のトラックや海上設備を使った輸送・給油です。加えて、低温タンクや関連機器の賃貸、現地での技術支援・保守サービスを行い、北米でパイプラインが届かない場所へのオフパイプライン供給をワンストップで実現しています。さらに中国では持分法適用の合弁企業を通じて電力・制御システムも手がけています。

経営方針

同社は小規模LNG(1日あたり約170万ガロン未満を想定)分野での市場占有率拡大と収益性向上を目指しています。これまで21年の事業で5億3,000万ガロン超のLNGを納品し、55,000件以上のトラック配送実績を持つことで顧客基盤と運用ノウハウを蓄積しており、まずは北米(米国、北メキシコ、カナダ西部)の既存市場での売上拡大と稼働率向上に注力します。投資資金の調達手段としては最大1億ドルのサーフェス回収手段(Shelf Registration)を保有しており、2024年の設備取得に約810万ドルを投下した実績や、2024年末時点で約100万ドルの未履行発注残があることから、段階的な設備投資で供給能力を増強する計画です。一方で当面は利益の内部留保を優先し、配当は見送る方針です。

同社は機器とサービスを一体で提供する「ワンストップ」体制を重点投資分野としています。液化設備(リクワファイヤ)や低温輸送機器への投資、現場のエンジニアリング・保守体制の強化を進めることで、ディーゼルやプロパンなど既存燃料との競争優位を築こうとしています。差別化の核は小規模向けに特化したオペレーション経験と安全管理であり、顧客への包括的な供給・保守パッケージを武器に、輸送コストや供給安定性での優位性を打ち出しています。経営陣のインセンティブ整備にも取り組んでおり、2024年の株式報酬費用は約120万ドルと、長期的な業績連動のモチベーション設計も行われています。

新市場開拓では海上燃料供給(マリンバンカリング)、鉱山・遠隔地発電、航空や産業向けといった用途拡大を目指しています。同社は既存の生産・配送能力を活用してこれら分野へ段階的に進出する方針で、必要に応じてM&Aやジョイントベンチャーを含む外部資本の導入も検討します。既に中国の電力・制御機器分野で40%出資の合弁(BOMAY)を保有しており、海外での技術・製造連携も事業拡大の選択肢です。ただし、拡張には追加資金が前提となるため、条件の良い資金調達機会を見極めながら段階的に進めると明言しています。経営体制では2025年1月31日付で創業メンバーのJ. Casey Crenshaw氏がエグゼクティブチェアマン兼暫定CEOに就き、日常の事業運営を主導する体制に移行しています(同氏の年俸は50万ドル)。

技術革新については、低コストで安全にLNGを生産・供給するためのクリヨジェニック(低温)設計と制御技術に継続投資しています。現場運用ではサイバーセキュリティにも注力しており、外部の専門パートナーと連携して端末監視やフィッシング対策、3-2-1バックアップの導入など運用上の堅牢性を高めています。加えて、機器の稼働効率向上や遠隔監視の高度化により運用コストを下げ、顧客に対して価格競争力と安定供給を同時に提供する技術基盤の整備を進めています。