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SL GREEN REALTY CORPSLG
事業内容
SL GREEN REALTY CORPは、主にニューヨーク・マンハッタンの一等地にあるオフィス不動産を保有・運営する上場の不動産投資信託(REIT)で、賃貸・管理・開発・再生を通じて資産価値を高めています。同社は大規模なオフィスビルを中心に取得し、入居者からの賃料収入と物件価値の向上を狙った施策で収益を創出しています。
主要な顧客は金融機関や法律事務所、メディアやテック企業などのオフィステナントや一部の小売テナント、さらに共同投資の相手となる年金基金や機関投資家などです。同社の収益構造は賃料収入が中心で、加えて物件売却益や再開発による価値上昇、債務や優先出資などへの投資収益も重要な収入源になっています。
事業は大きく賃貸・ビル管理、物件取得と再配置・再開発、保有資産の処分や共同事業の運営、さらに担保付き債務や優先エクイティ投資の五つに分かれます。同社は共同事業(オペレーティングパートナーシップ)を活用して機関投資家と連携しつつ、資金は物件売却や借入、株式発行などで調達してリスク管理と資本効率の向上に取り組んでいます。
経営方針
同社は長期的な資本増価と安定的なキャッシュフローの両立を目指しています。主にマンハッタンを中心とした優良オフィス物件を核に、選択的な開発・再開発と既存物件の再ポジショニングを通じて価値向上を図っており、2024年は建物改修などの資本支出を約2.12億ドルに抑えつつ、共同投資や資産売却で得た資金を次の投資や負債返済に振り向けています。同社は自己株買い枠を35億ドルで設定しており、2024年11月には約506万株を公募し純収入約3.86億ドルを確保するなど、資本配分の柔軟性を高めています。
同社は賃貸運営と資産運用を重点分野として差別化を図っています。豊富な地域知見に基づく自社による一貫したリーシング・管理力と、売買時に税効率を高めるオペレーティング・パートナーシップを活用した提案力により、複雑な取引でも迅速に案件を成約できます。例えば、過去の大型取得として245 Park Avenue(評価約19.6億ドル)等を手掛けるなど、大型資産の取得・再生の実績を持ち、2024年は共同投資への出資や再配置によって約2.67億ドルを投じるなど、実行力で競合に差をつけています。
同社は共同事業(ジョイントベンチャー)を通じた市場開拓とポートフォリオ最適化を進めています。外部の機関投資家と組むことで資金調達とリスク分散を図り、不要な資産は売却やジョイントベンチャー化でエクイティを回収してから、開発や債権投資、株主還元(株式買戻しや配当)に再配分する方針です。実際に2024年は売却収入約1.71億ドルを得ており、資本市場アクセスを活用しながら選択的に事業を拡大しています。
同社は技術・環境面の革新にも力を入れています。運用管理領域では、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)に沿ったScope 1・2の削減目標を採用し、NYSERDAの調査を活用して建物とテナント空間の省エネに取り組んでいます。また情報資産保護では、NISTに基づくリスク重視のサイバーセキュリティ体制を導入し、外部専門家による年次の検査やインシデント対応計画を整備、担当責任者は経営陣や取締役会に報告する体制を敷いており、同社は資産価値と入居者の事業継続性を守ることを目指しています。