SLB LIMITEDSLB

時価総額
$475.5億
PER
エネルギー技術・油田サービスの世界最大手。DelfiやLumiといったAI活用のクラウド型デジタルプラットフォームをSaaSで展開。2024年4月2日に化学・人工リフト大手の買収を発表、2023年10月に海底事業統合の合弁を設立。世界100カ国以上で展開。

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企業概況
106文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

SCHLUMBERGER LIMITEDは、石油・ガスの探査から掘削、開発、生産までを支える技術とサービスを世界中で提供する大手企業です。井戸の設計や掘削支援、地層や井戸内部の計測、海底や陸上の生産設備に加えて、デジタル技術や低炭素ソリューションにも注力しています。

同社の主要顧客は国営および民間の石油・ガス生産会社や掘削業者、海洋・陸上の事業者で、地域ごとの開発プロジェクト向けに契約を結んで収益を上げています。収益は現場サービスと機器販売、ソフトウエアのサブスクリプションや大型プロジェクトの一括受注などで構成され、資本支出や原油価格の動向で変動します。

同社の事業は大きく貯留層評価、井戸建設、生産システム、デジタル、新エネルギーの各分野に分かれており、それぞれ専用の製品・サービス群を持っています。具体的には測定装置や掘削用の流体・ドリルビット、海底の生産機器や人工揚圧、完井や表面設備の提供に加え、クラウド基盤のデータ解析サービスや二酸化炭素回収・貯留(CCS)や低炭素水素などの脱炭素技術にも取り組んでいます。

経営方針

同社は成長戦略を「コア事業」「デジタル」「ニューエナジー」の三本柱で進めています。直近の業績では2024年の売上高が前年同期比で約10%増加し、税引前の事業別営業利益は約12%の拡大を達成しました。営業キャッシュフローは約66億ドル、フリーキャッシュフローは約40億ドルを確保し、株主還元として約33億ドルを返却、純有利子負債は約5.71億ドル減少しています。地域別では国際売上が約12%成長し、中東・アジアが約18%、欧州・アフリカが約13%といった伸びを示しています。

同社は重点投資分野として既存の掘削・生産関連(Reservoir Performance、Well Construction、Production Systems)に加え、デジタル化とニューエナジー領域を掲げています。コア部門はフィット・フォー・ベイスン(地域に合わせた技術提供)で差別化し、Production Systemsは子会社・事業再編の効果もあり2024年に24%の成長(うち9%は有機成長)を実現しました。デジタル面ではデータとAIを軸にしたサービスで差別化を図り、デジタル売上は前年から約10%増加し、同分野単独では約24.4億ドルに達しています。

新市場開拓と事業拡大では、買収と提携を積極的に活用しています。2023年10月に発足したOneSubseaの合弁事業で海中生産領域の供給体制を強化し、買収したアセットは短期間で売上寄与(2023年10月〜12月で約5億ドル)を示しました。さらに2024年4月に公表したChampionXの買収は、化学薬剤や人工リフトの能力を取り込むもので、対価は自社株交換(1株あたり0.735株)で、取引成立後にChampionX株主が約9%の比率になる見込みです。同社はこうしたM&Aと地域展開で製品からサービスまでの一気通貫の提供を拡大し、ニューエナジー領域(産業の脱炭素化、再エネと効率化、重要鉱物)にも横展開しています。

技術革新への取り組みは研究開発拠点とデジタルプラットフォームに大きく投資しており、同社は顧客の運用を効率化するクラウドベースのDelfiプラットフォームや、データ・AI基盤のLumiを推進しています(Delfiはソフトの定額提供モデルへ移行する取り組みを含みます)。遠隔運用を可能にするPerformance Liveセンターや、自律掘削などの自動化技術も実用段階に入り、デジタルと装置を組み合わせた付加価値型のサービスで差別化を図っています。持続可能性については同社もネットゼロを目指しており、長年のCCS(炭素回収・貯留)経験や低炭素水素の技術などを通じて脱炭素ビジネスの実装を進めています。