SIEBERT FINANCIAL CORPSIEB

時価総額
$1.2億
PER
金融サービスの有力企業。リテール証券、投資助言(ロボアド)、保険、フィンテック開発を展開。2023年5月にKakaopayが約19.9%を出資、2024年8月にGebbia Entertainmentを125万ドルで買収。米国中心に全国展開。

事業内容

SIEBERT FINANCIAL CORPは、個人投資家向けの証券仲介を中核に、投資助言、保険の販売、そして金融向けテクノロジー開発を行う総合金融サービス会社です。同社はオンラインと店頭の両方で株式・債券の売買仲介や自動運用サービス(ロボアドバイザー)を提供し、近年は投資銀行や資本市場サービスの拡充にも取り組んでいます。

主要な顧客は個人投資家が中心で、ほかに企業やブローカー向けの決済・コーポレートサービスも顧客層に含まれます。収益は取引手数料や運用・助言手数料、保険販売手数料、利息収入に依存しており、取引量や金利動向の影響を受けやすい構造です。

事業は大きく、証券仲介を担うブローカー事業、ロボアドや運用サービスを提供する投資助言事業、保険商品を扱う保険事業、そしてプラットフォームやモバイルアプリを開発するテクノロジー事業に分かれています。同社は自社の自動運用技術を使った管理型ポートフォリオや個別管理口座を提供し、買収や提携を通じてエンターテインメント分野や中堅企業向けの金融サービスも拡大しています。

経営方針

同社は収益拡大と事業基盤の強化を成長戦略の中核に据えています。2024年の連結純収入は8,390万ドル、純利益は1,330万ドル、1株当たり利益は0.33ドルと前年から改善しており、小口顧客の純資産は前年から13%増の180億ドルに達しました。資金面では、最大2,000万ドルの信用枠を確保しており、そのうち最大1,000万ドルを買収や自社株買いに利用できる枠組みを設けるなど、外部資金を使った成長オプションを確保しています。これらを踏まえ、同社は投資銀行・資本市場事業の立ち上げなど収益の多角化を目指しています。

同社はテクノロジーとニッチ顧客への対応に重点投資することで差別化を図っています。テクノロジー子会社を通じて小売向けプラットフォームやモバイル取引アプリの開発を進め、ソフトウェア開発ベンダーへの支出は約340万ドルにのぼります。投資助言部門では独自のアルゴリズムを用いたロボアドバイザーを提供し、低コストの上場投資信託を組み合わせた自動運用で顧客にリスク調整後のリターンを目指す運用を提供しています。エンターテインメント分野ではGebbia Entertainmentの買収(買収総額125万ドル、識別可能な無形資産7.78百万ドル)によりアーティスト管理やメディア領域へ踏み込み、著名なアドバイザリー委員会を活用してフィナンシャルサービスとクリエイティブ産業をつなぐ提案を強化しています。

新市場開拓と事業拡大では、2025年第1四半期に投資銀行・資本市場部門を新設し、中堅市場向けのM&Aや資本調達を狙う戦略を明確化しました。同部門は既に複数の経験豊富な人材を採用しており、そのリクルートに伴い117,000株の制限付き株式と950,000株の割当株式を付与するなど人的投資を行っています。加えて、ニューヨークやシカゴ、オマハなど拠点整備を進め、小売顧客基盤の拡大とコーポレート向けサービスの両面でクロスセルを図る計画です。外部パートナーとの取引や買収も継続的に検討しており、必要に応じて借入枠や自己資本を活用して成長を加速させる方針です。

技術革新への取り組みは同社戦略の柱であり、基盤投資と運用改善を並行して進めています。STCHを中心にモバイルアプリやオンライン小売プラットフォームの導入、既存システムのインフラ強化を進め、ロボアドや取引執行の自動化でコスト効率と顧客体験の向上を狙っています。2024年には情報システムに関する内部統制の弱点を特定して是正を完了しており、CISOや技術チーム、取締役会の監督のもとサイバーセキュリティと運用の継続的改善を重視しています。これらの技術投資により、同社は従来のブローカー業務にとどまらないデジタル時代の成長機会を追求しています。