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STAR GROUP, L.P.SGU
事業内容
STAR GROUP, L.P.は米国で家庭用・業務用の灯油とプロパンの小売配給を中心に事業を展開しており、モーターフューエルの供給や配達車両による輸送サービスも行っています。同社は燃料の配送に加え、暖房・空調機器や非常用発電機の販売・設置・修理といった付帯サービスを提供しています。
同社の主要顧客は住宅や商業施設を中心に、フォークリフトや発電用途などの産業顧客や農業用途の顧客も含まれます。燃料は多くの場合「1ガロン当たりのマージン」を上乗せする形で価格設定し、設備販売・設置・メンテナンスなどのサービス収入も重要な収益源になっています。
同社は事業を灯油・プロパンの小売配給、モーターフューエル供給、暖房・空調および発電機の販売・サービスというセグメントで運営しています。地域密着で複数州に拠点とデポを持ち、選択的な買収で顧客基盤を拡大しつつ顧客維持に注力しており、冬季の暖房需要により売上が季節変動する点が特徴です。
経営方針
同社はまず、Adjusted EBITDAとフリーキャッシュフローの拡大を通じて株主還元を強化することを目指しています。具体的には、事業運営の効率化と顧客基盤の拡大で収益力を高める戦略を掲げており、直近の配当方針では四半期配当0.1725ドル(年率換算で0.69ドル)を支払うなど、現金還元を重視しています。また、2024会計年度にはプロパン1社と暖房用オイル4社を約4,940万ドルで買収するなど、買収による成長を明確な手段としています。
同社は重点的に家庭用暖房油とプロパンの小売流通を強化することを目指しています。差別化の源泉としては、地域密着の迅速な配送と顧客サービスに投資しており、主要ブランドには顧客関係管理システムを展開して従業員が顧客情報を一元管理できる体制を整えています。補完的サービスとして暖房・空調機器や待機用発電機の販売・設置、天然ガスへの切替サービスも提供しており、これらで季節変動の吸収と顧客あたり単価の向上を図っています。事業基盤は米国12州とワシントンD.C.で、車両保有規模はトラック等約1,134台と大規模な配送ネットワークを有しています。
同社は新市場の開拓と事業拡大を買収を軸に進めています。近年の買収では取得対価の大半を顧客リストなどの無形資産に配分しており(2024年の買収配分では無形資産約4,040万ドル、のれん約1,370万ドル)、買収後の顧客統合とローカル運営への組み込みで収益化を急ぐ方針です。加えて、配当やインセンティブ分配の仕組み(最低四半期配当0.0675ドルを起点に、一定以上の「Available Cash」が発生した場合に経営陣へインセンティブが付与される制度)を通じて経営と出資者の利害を連動させ、成長資金と配当のバランスをとっています。
同社は技術革新にも投資しており、顧客体験向上と運用効率化のためのシステム導入を進めています。CRMによる顧客情報の一元管理に加えて、サイバーセキュリティ面ではCISやNISTに準拠した統合的なプログラムを運用し、外部の脆弱性診断や侵入試験を定期実施、IT監査サブコミッティーを設置して取締役会レベルで監督しています。環境面ではバイオディーゼル混合燃料や高効率暖房・空調機器の提案を通じて排出削減に取り組んでおり、無形資産の償却費として年間約1,800万ドル程度を費やすなど、買収と技術両面で将来の収益基盤を固める姿勢を示しています。