SIGMATRON INTERNATIONAL INCSGMA

時価総額
$1841.9万
PER
電子機器向けEMSの有力企業。プリント基板(PCBA)組立、箱組立、DFM/DFT設計、国際調達と倉庫物流を展開。23年4月28日にペットテック部門の過半数を売却。米国、メキシコ、中国、ベトナム、台湾での製造・調達ネットワーク。

事業内容

SIGMATRON INTERNATIONAL INCは、電子機器の製造を一手に引き受けるEMS(電子製造サービス)企業です。電子基板の組立と検査から、基板を組み込んだモジュールや完成品の組立まで行い、設計支援や試験、サプライチェーン管理、倉庫・流通サービスも提供しています。

同社の顧客は数社に集中しており、上位5社で売上の約半分を占めています。売上は顧客が部品を持ち込む受託方式と、同社が部品調達まで行う一括受注方式で構成され、2024年度の売上は約3億7,390万ドルで前年より約10%減り、通期で税引前の損失を計上していますが、バックログは依然強めです。

事業は現在EMSの単一報告セグメントで運営しており、以前のペット向け事業は大部分を売却して少数株を保有する形に整理しています。製造拠点を米国、メキシコ、中国、ベトナム、台湾に分散させることで生産地の柔軟性を確保し、新製品導入から少量多品種・大量生産まで対応するとともに、製造性や試験を考えた設計支援、部品調達、倉庫管理、各国の環境・規制対応といった付随サービスも提供しています。

経営方針

同社は中核の電子機器受託製造(EMS)事業の売上回復と収益性改善を最優先の成長目標としています。2024会計年度の売上高は約3億7,390万ドル、継続事業での税前損失は約280万ドル、売上は前年から10%減少しましたが、約2億8,990万ドルの受注残(バックログ)を抱えており、その大部分を2025会計年度に出荷する計画です。短期的にはサプライチェーンの正常化による原材料価格の下落を見込み、コスト管理と製造シフトを組み合わせて粗利率の回復を目指しています。また、債務契約(JPMおよびTCWとのクレジット契約)による財務制約があるため、配当支払いは制限されており、追加の資金調達や信用条件の維持を重要施策としています。

同社は設備・サプライチェーン・人材への重点投資で競争優位を築いています。台湾の調達拠点(IPO)と連動した在庫管理システムや独自のERP/Iscoreツールを強化し、2024会計年度に海外子会社へ約6,032万ドルを支払う形で多国間の製造を運用しました。生産設備や検査機器、倉庫・物流(米国・メキシコ・中国・ベトナム・台湾の拠点)への投資に加え、品質・規格面ではIATFやISO13485などの認証を活かして医療機器や自動車関連など高付加価値分野を狙っています。人材面では組合員が約46%を占めるため、採用・研修・定着施策を強化し、技能者不足による成長阻害を防ぐ方針です。

新市場開拓と事業ポートフォリオの整理も明確に進めています。ペットテック事業(Wagz)の大部分を2023年4月に売却し、EMSに経営資源を集中させることで専門性を深めています。今後は医療・産業・消費者エレクトロニクスの三分野で受注拡大を図り、拠点間での生産移管を活用してコストと納期の最適化を進める計画です。国際展開を活かして顧客のサプライチェーン見直しニーズに対応し、受注集中リスク(上位5顧客で約49.2%の売上依存)の緩和にも取り組みます。

技術革新では設計支援とセキュリティ両面に投資しています。同社は新製品導入(NPI)支援、製造しやすさや試験しやすさの検討(DFM/DFT)を提供し、設計段階から量産までのリードタイム短縮と不良低減を図っています。情報セキュリティではNISTやISOベースの運用体制(ISMS)とインシデント対応計画を整備し、外部監査や第三者検証を定期的に実施しています。会計・開示面では収益認識に関する内部統制の強化(複数段階のレビューや証憑整備)を進め、過去ののれん・資産減損(合計で約2,309万ドルの減損計上など)を教訓に財務の透明性確保を目指しています。