SOMNIGROUP INTERNATIONAL INC.SGI

時価総額
$182.2億
PER
寝具・枕の製造販売の最大手。テンパー素材の高機能マットレス、枕、調整式ベッドを直販と卸売で展開。2025年2月に約51億ドルでマットレス小売大手を買収。北米・欧州・アジア太平洋中心で100カ国超に展開。

事業内容

SOMNIGROUP INTERNATIONAL INC.は良質な睡眠を提供することを目的に、マットレスや枕、ベッド基礎を中心とした寝具の設計・製造・流通・小売を手掛ける世界的な事業者です。同社は自社の素材や商品開発に投資し、体に合わせた快適性を重視した高付加価値製品を展開しています。

主要な顧客は一般消費者向けの小売購入者に加え、ホテルや医療施設などの業務用需要と第三者小売店で、収益は直営店とオンライン、卸売という複数の販売チャネルから上がっています。同社はチャネルを組み合わせることでブランド品と汎用品の両面から安定した売上を確保しています。

事業は地域別に管理しており、従来は北米と国際の二つのセグメントで運営してきましたが、小売チェーンの買収により今後は小売部門を含む三つのセグメント体制へ移行する予定です。製品ラインは高付加価値の低反発系マットレスや従来型のスプリング系マットレス、枕やベッド周辺の付属品に分かれ、それぞれを直販、提携小売、法人向けの販路で販売しています。

経営方針

同社は長期的な収益成長と株主還元の両立を目指しています。成長の柱としては自社ブランドの強化とチャネル拡大を掲げており、世界100か国超で事業を展開する規模を生かして売上と利益の拡大を目指しています。直近では買収による事業拡大を積極的に推進しており、2025年2月に約51億ドルの総対価(現金約28億ドル+発行株式約3,420万株、1株当たり65.65ドルで評価)でMattress Firmを取得しました。一方で、同社は財務の健全性にも配慮しており、2016年以降の株式買戻し累計は約5530万株、約23.889億ドルに達する一方で、買収完了前は買戻しを一時停止し、未使用のキャッシュフローを負債返済に充てる方針を示しています(買戻し枠残高は2024年末時点で約7.745億ドル)。

同社は「製品イノベーション」と「ブランド投資」を中心に重点投資を行い差別化を図っています。代表的な施策として、Tempur‑Pedic、Sealy、Stearns & Fosterといったグローバルなアイコニックブランドへの広告・販促投資と、消費者の睡眠体験を高める素材開発に注力しています。具体的には研究開発拠点を米国3拠点とデンマーク1拠点の計4か所で運営し、消費者テストを年間数百件実施するなど製品開発と検証を重視しています。加えて、小売りと卸売りを組み合わせたオムニチャネル戦略で直販と第三者販売を最適化し、独自素材やブランド力で価格競争からの脱却を図っています。

新市場開拓と事業再編は買収と選別を通じて進められています。Mattress Firmは取得後に同社の別個の事業セグメントとして運営される見込みで、同時に73店舗とSleep Outfitters(103店舗+7配送センター)をMW SO Holdingsに売却する計画を公表しており、2025年第2四半期の完了を目指しています。こうした再編により北米・国際・小売の三つのセグメント体制へ移行し、地域別とチャネル別に最適化した営業展開で市場シェア拡大を狙っています。サプライチェーン面では重要部材の多くを契約調達し、中国依存の高い部品については代替調達先の確保を進める方針です。

同社は技術革新とリスク管理の双方に取り組んでいます。製品面では独自のTempur素材などを軸に研究開発投資を継続し、製造・試験設備での品質検証を徹底しています。情報面ではNISTに基づくサイバーセキュリティ体制を採用し、2023年のセキュリティ事案以降は多要素認証や特権アクセス管理の強化、外部の検査・監視サービスの導入などで防御力を高めています。経営リスクに関する数値的な感度も開示しており、変動金利借入(2024年末で約21.6億ドル)に対する10%ポイントの金利上昇は税前利益を約2,160万ドル押し下げる試算や、為替先物の10%の不利変動で約290万ドルの評価損が想定されるといった定量的な評価を基に対応策を講じています。