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- Sprouts Farmers Market, Inc.
Sprouts Farmers Market, Inc.SFM
事業内容
Sprouts Farmers Market, Inc.は米国で新鮮な野菜・果物を中心に、自然派やオーガニック食品、日常の食材を取りそろえた小売チェーンを運営しています。店舗はファーマーズマーケット風のレイアウトと小型〜中型のフォーマットで、店内での買い物体験を重視しています。
同社の主要な顧客は健康志向や品質志向の消費者で、日常の食材購入から特別な健康食品やサプリメントまで幅広く購入します。収益は主に店頭での販売が中心で、近年はオンライン販売や自社ブランド製品の販売強化で売上と利益率の改善を図っています。
事業の中身は生鮮(プロデュース)を核に、肉・魚・乳製品などの冷蔵・冷凍品、乾物や加工食品、ビタミン・サプリメント、そして自社ブランド製品で構成されています。物流面では生鮮向けの配送センターと外部ディストリビューターを組み合わせた供給体制を整え、商品鮮度とコスト管理を両立させながら品揃えを差別化しています。
経営方針
同社は長期的な成長戦略として「ターゲット顧客との勝利」「市場拡大」「アドバンテージのあるサプライチェーン構築」を掲げ、店舗拡大と収益性の向上を両立させようとしています。2024年12月時点で440店舗(24州)を展開しており、2021~2024年に75店舗を新規出店、1店舗を新フォーマットで改装しました。地理的な成長余地として年間約10%のユニット成長の長期ランウェイを見込んでおり、2025年の設備投資は2.30~2.50億ドルを想定している点も数値目標の一端です。実行状況は2019年の基準年と比較してマージン構造が改善していることでも示されています。
同社は「健康志向層」と「選択的買物層」を主要顧客に定め、鮮度と差別化商品で競争優位を図っています。店舗は売場の約20%を生鮮に割き、農場風のオープンレイアウトと小型フォーマットで“素早い買物体験”を提供する点が特徴です。商品ミックスでも、2024年の売上は生鮮が約57.3%、非生鮮が約42.7%を占めており、乾物・冷凍の主要仕入先であるKeHEからの購入が総仕入の約50%を占めるなど、仕入パートナーとの関係を通じて価格競争力と品揃えの差別化を図っています。
事業拡大では出店戦略と供給網の連携を重視しており、新規出店はターゲット顧客の居住地と供給(流通)支援が交差する市場に集中させています。鮮度重視の取り組みとしては、最終的に各店舗から半径250マイル以内に鮮度配送センターを配置することを目指しており、2024年末時点で約80%の店舗がその範囲内に入っています。生鮮用の自社配送体制強化を進める一方で、畜産・水産系の流通は段階的に中間業者経由から最終的な自社直送へ移行する計画であるため、移行期間中の供給混乱リスクを織り込んだ運営も行っています。
技術革新では、在庫管理や需要予測、店内補充、労務やロス(シュリンク)最適化といった業務系投資と顧客向けのパーソナライズを両輪で進めています。具体的には企業データ基盤の整備、クラウド環境や人工知能・機械学習の活用による自動化とリアルタイム分析を導入し、ECの受け取り・配達は自社サイトとアプリで提供しています。これらのIT投資は2025年の設備投資見込み(2.30〜2.50億ドル)の一部で賄われ、業務効率や顧客維持率の向上に直接つなげることを目指しています。