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Solaris Energy Infrastructure, Inc.SEI
事業内容
Solaris Energy Infrastructure, Inc.は、移動式の天然ガス発電装置と油井向けの原料管理装置を中心に、機器の設計・製造・レンタルおよび現場での運用サービスを行っています。分散型電源のレンタルと現場物流ソリューションを組み合わせ、現場で使える機器と運用ノウハウをワンストップで提供しています。
同社の電力部門はデータセンターや油田向けに可搬型発電設備を貸し出すことが収益の主軸で、物流部門は大手の探鉱・生産会社や油田サービス会社を顧客に、材料の保管・輸送・現場供給を請け負って収益を上げています。契約はマスターサービス契約(MSA)と個別作業指示書の組み合わせが中心で、電力部門は2024年末時点で単一のデータセンター顧客に売上の大部分を依存しています。
同社は事業を「電力ソリューション」と「物流ソリューション」の二つのセグメントで運営しています。電力ソリューションは可搬型ガスタービンと付帯機器を構成してリース・保守を行い、物流ソリューションは井戸完了で使う原料(砂など)の効率的な保管・取り扱いを可能にする装置の設計・製造と、それに伴う輸送・現場管理サービスを提供しています。
経営方針
同社は買収と統合を通じた成長とフリーキャッシュフローの改善を目指しています。2024年9月にMERを買収し、買収総対価は約3.231億ドルで、うち株式対価として16,464,778ユニットが発行されました。経営陣は買収による重複コストの削減や運営効率の向上で投下資本の回収を早めることを狙っており、プロフォーマベースでの2024年売上高は約3.39億ドル、MERは同年に約3,860万ドルの売上と税引前利益約1,810万ドルを寄与しました。資本政策としては四半期配当を継続し、現在は四半期あたり1株0.12ドル(年率0.48ドル)を目安としています。
同社は重点投資分野として「分散型電源(移動型の可搬式ガスタービン等)」と「最後工程向けの物流機器・システム」の二本柱を掲げています。Power Solutionsでは大口顧客向けに可変構成の発電装置をリース提供することで差別化を図り、Logistics Solutionsでは現場での原材料管理や供給を効率化する専用機器を製造・提供することで他社と差別化しています。具体的な施策としては、主要データセンター顧客と長期契約を締結(2024年Q4〜2025年Q1に実施)し、装置の稼働率を高めるための保守体制や主要部品の在庫確保に投資しています。
新市場開拓と事業拡大では、MERの取り込みを活かしてデータセンターや産業用の大口オフグリッド需要へ展開を図る計画です。現状Power Solutionsは買収後短期では特定のデータセンター顧客に依存していましたが、長期契約の獲得や顧客ポートフォリオの多様化で依存度を下げ、地域的な供給網の拡大やフリート(保有機器)の増強を通じて需要に応える方針です。さらに将来的な成長機会を取り込むため、必要に応じて追加の資産取得や企業買収も選択肢として検討すると明示しています。
技術革新への取り組みとしては、大規模・後付けでの「背後メーター(オフグリッド)連携」を含む分散型電源のシステム化と信頼性向上を重視しています。具体的施策には遠隔監視や制御の導入、稼働データに基づく保守最適化、そしてサイバーセキュリティ対策の強化があります。同社はNISTベースの方針を採用し、ファイアウォールや外部ベンダーによる監視、インシデント対応手順の整備といった実務的な対策を講じることで、稼働停止リスクの低減と顧客信頼の維持を目指しています。