SEABOARD CORPSEB

時価総額
$40.6億
PER
豚肉の生産・加工の米国大手。縦断的な豚の垂直統合生産、再生可能液体燃料と海運・物流サービスを展開。主要株主が約73%保有で創業1918年の家族系支配が継続。米国を中心に日本・メキシコ・中国を含む45カ国超で事業を展開。

事業内容

SEABOARD CORPは農業、エネルギー、海運を中心に世界各地で多角的に事業を展開する企業です。同社は米国で豚の生産から食肉加工、バイオ燃料の製造を垂直統合で行い、海外では穀物の取引・加工、貨物輸送、発電、砂糖やアルコールの生産などを手掛けています。

同社は加工業者、外食チェーン、卸売・小売業者向けに肉製品を販売し、一部製品は日本やメキシコ、中国などへ輸出しています。電力はドミニカ共和国の公的配電会社に販売しており、売上は原料や商品価格、世界の経済状況に大きく影響を受けるため収益は変動しやすいです。

同社は報告上の主要セグメントを、豚肉(Pork)、商品取引・製粉(CT&M)、海運(Marine)、液体燃料(Liquid Fuels)、電力(Power)、七面鳥(Turkey)およびその他に分けています。豚肉事業は飼育から加工、飼料生産までを内製化し、液体燃料は一部で豚脂を使った再生可能燃料を製造、CT&Mは穀物の調達・国際トレードと加工・物流を担い、海運は米州中心の貨物輸送、電力は発電事業、七面鳥はButterballへの投資を通じた製造販売を行っています。

経営方針

同社は事業の多角化と垂直統合を通じて安定的な成長を目指しています。2024年の連結売上高は約91億ドル(約9,100百万ドル)で、同年の設備投資は約5.11億ドル(資本支出合計)にのぼります。配当については、2022〜2024年の各四半期に1株当たり2.25ドルを支払い、取締役会は「合理的に予見可能な範囲で四半期配当を継続する」意向を示しており、同社は安定したキャッシュ還元を維持することを目指しています。

重点投資分野は食料(豚・七面鳥)、コモディティ取引・加工、海運、再生燃料、電力の五領域で、各セグメントごとに資源を集中させ差別化を図っています。豚事業では操業がほぼフル稼働の加工プラントで年約600万頭処理、飼料製造能力は年約300万トンといった固定資産優位性を持ち、2024年の豚セグメント向け資本支出は約2.99億ドルでした。商品取引・製粉(CT&M)は在庫比率が高く(全社在庫の約41%を占める)供給網の強さで差別化し、液体燃料部門は屠畜由来の脂肪を原料に再生可能なディーゼル・バイオディーゼルを生産して環境価値クレジット(米国のRINやカリフォルニア州のクレジット)を販売することで収益源を拡大しています。

新市場開拓や事業拡大では地理的展開と製品ポートフォリオの拡充を重視しています。国際的には45か国以上で事業を展開し、豚製品は日本・メキシコ・中国などへ輸出、CT&Mはアフリカ・南米からの調達と輸出を強化しています。発電分野ではバージ型発電設備(EDM II:約108MW、EDM III:約150MW)を稼働させ、EDM IIIの稼働開始により2023年は発電売上が約6,000万ドル増加しました。七面鳥事業への出資(Butterball 52.5%)や、外部コパッカー活用による加工能力の柔軟化なども進め、再生可能天然ガスサイト(2024年時点で9拠点)は立ち上げ段階ながら将来の追加収益源として育成を目指しています。

技術革新への取り組みでは、生産効率向上と情報セキュリティ強化に具体的投資を行っています。同社は工場の稼働効率や付加価値の高い製品開発でマージン改善を図るとともに、情報セキュリティ専任の責任者を置き四半期ごとに経営トップと取締役会へ状況報告を行うガバナンス体制を整えています。監査でもソフトウェア支援によるデータ分析を活用するなどデジタル技術を導入しており、これらによって運用の信頼性と市場変動への対応力を高めることを同社は目指しています。