- 米国企業
- Vivid Seats Inc.
Vivid Seats Inc.SEAT
事業内容
Vivid Seats Inc.はオンラインのチケット市場を運営し、ライブコンサートやスポーツ、演劇などのチケット検索・購入やホテルやパッケージの予約を可能にするサービスを展開しています。同社は自社のウェブサイトやスマホアプリで売り手と買い手を結び、イベントの発見から決済、受け取りまでを一気通貫で簡便にすることに注力しています。加えて、アプリ内のゲームやプロモーションで利用者の関心を高め、リピートを促しています。
主要な顧客はチケットを購入する一般消費者、プロや個人のチケット売り手、流通・メディアなどのパートナー企業です。同社の収益は主にチケット購入者に課すサービス料や配送料、提携先への紹介手数料などのマーケットプレイス収入が中心で、加えてイベント保険の紹介手数料やプライベートラベルでの取引処理料もあります。さらに、自らチケットを買い取って転売する事業や、ゲームアプリにおける入場料と配当の差額といった複数の収益源も持っています。
事業はMarketplaceとResaleの二つのセグメントに分かれており、Marketplaceでは売り手向けの在庫管理ツール「Skybox」やAPI連携、会員向けのリワードやゲームセンターなどで取引流通を支えています。同社はVegas.comや日本のWavedashの買収で地域やチャネルを拡大し、売り手向けに動的価格調整のサブスクリプションサービスなど付加価値の高い製品も提供しています。これらを通じて取引量の拡大と顧客エンゲージメントの向上を狙っています。
経営方針
Vivid Seatsは市場シェアの拡大と収益性の改善を目指しています。具体的には、オンラインの流通量を増やしてプラットフォームの取引総額を引き上げることを成長の中核に据えており、買戻しや選択的な買収を通じて株主価値の向上も図っています。直近では手元資金が約2.435億ドルあり(2024年12月31日時点の現金および現金同等物)、取締役会が2024年に上限1億ドルの自社株買いプログラムを承認したことから、自己資本の効率化も進めています。
同社はチケット売り手向けの技術投資と差別化を重視しています。無料で提供する販売管理システム「Skybox」は多数の専門売り手が採用しており、これを導入することで売り手の在庫回転が速まり自社市場の流動性が高まります。さらに2024年12月に有料オプションとして発表した「Skybox Drive」は、リアルタイムの市場データを用いて価格を動的に調整する機能を提供し、売り手に対する付加価値で差別化を図っています。加えて、リワードプログラムやアプリ内のゲーム機能を通じて顧客の定着と再購入を促す施策にも投資しています。
新市場開拓では、買収による地理的拡大が明確な戦略です。2023年には日本を拠点とするWavedashとラスベガス関連のVegas.comを取得しており、Vegas.comの買収対価は総額約2.483億ドル(現金1.528億ドルと自社株1.0株相当分)でした。これらの買収により、日本やカナダを含む国際展開を進めるとともに、ラスベガスの観光・宿泊需要と連携したパッケージ商品で顧客接点を広げています。加えて、複数通貨表示の対応など決済面の改修を進め、新規地域での利用ハードルを下げる具体的施策を展開しています。
技術革新については、同社はクラウドベースでモジュール化したアーキテクチャを採用し、外部連携用の接続口(API)を通じて媒体パートナーや第三者ツールと迅速に結びつくことを重視しています。これによりトラフィックの急増にも耐える拡張性と、価格・在庫のリアルタイム反映を可能にしています。また、財務報告の信頼性向上のために統制強化にも着手しており、職務分離の実施や会計担当者の増員、内部プロセスの再設計といった具体的な改善策を講じています。これらの取り組みによって、プラットフォームの成長と運用リスクの低減を同時に達成しようとしています。