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COMSCORE, INC.SCOR
事業内容
COMSCORE, INC.は、テレビやストリーミング、パソコン・スマホなどのデジタル媒体を横断して視聴者や消費者の行動を測定し、広告の到達や効果を明らかにする企業です。同社は視聴データやパネル、センサス情報を組み合わせ、重複を除いたリーチや頻度、広告の配信検証などの分析サービスを提供しています。
同社の顧客は放送局やケーブル・プラットフォーム、配信事業者、デジタル出版社、広告代理店、広告技術企業、ブランドや映画スタジオ、流通業者など多岐にわたります。収益は定期購読型のシンジケート商品、インプレッションやトランザクションに基づく従量課金型商品、そして企業向けのカスタム調査・データフィードなどで構成され、上位10社で売上の約3分の1を占めるなど大口顧客への依存度が高い点が特徴です。
事業は大きく「コンテンツ&広告測定」と「リサーチ&インサイト」の二つのソリューショングループに分かれます。前者では全国・地域のテレビ視聴やデジタル動画、ウェブサイトやアプリの計測(Comscore TV、Media Metrix、Video Metrixやクロスプラットフォーム評価など)や映画興行の計測を行い、後者ではカスタムのデータフィード、アンケートやブランドヘルス分析など企業ニーズに応じた調査を提供しています。これらのサービスはソフトウェア型の配信、APIやデータフィード、広告技術との連携を通じて顧客システムに統合されています。
経営方針
同社は収益成長とキャッシュフローの黒字化を重点目標に据えています。大口顧客への依存度が高く(上位10社で売上の約34%を占める年もあり)、既存顧客の契約更新と新規サブスクリプションの拡大で安定的な反復収入を増やすことを目指しています。財務面では、借入枠60百万ドルのクレジット契約を保有し、2024年末時点で約45百万ドルを借入中であったため(当時の実効金利は約11.59%)、資本効率とキャッシュ生成の改善が当面の重要課題になっています。また、2024年のリストラクチャリングは大部分が完了しており、同年の関連費用は約1.03百万ドル、期末の未払残高は約0.34百万ドルでした。
同社は製品・技術への投資を最重点分野と位置づけています。従業員約1,200人のうち約56%がプロダクトと技術に従事しており、データ取得・融合・解析の独自技術を強みにしています。具体的には、端末やプラットフォームをまたいで同一の視聴者を重複除去(デデュープ)して測定する仕組みや、ウェブ/アプリのセッションを丸ごと把握する能力、テレビ向けの大規模測定での特許群などで差別化を図っています。これらをクラウド提供やAPI、データフィード、広告技術との連携を通じて顧客に届け、広告の計画・検証・最適化まで一貫して支援することを目指しています。
新市場開拓と事業拡大では、ストリーミング(CTV)やアドレス可能なテレビ、映画興行に関するソリューションの拡大を進めています。過去の買収事例(例:2021年のShareablee)や大手とのデータライセンス契約(例:長期のチャーター社向けライセンス)を活用し、プログラマティック広告へのデータ供給や「データクリーンルーム」を通じた共同分析など、既存顧客の深掘りと新規セグメントの獲得に注力しています。研究系の受託ソリューション(カスタム調査やブランドヘルス測定)も並行して拡大し、多様な収益源を確保することで特定顧客依存のリスク低減を目指しています。
技術革新への取り組みとしては、人工知能を用いたコンテンツの文脈理解や大量データの自動分類、パネルデータとセンサー・ログの統合による人単位測定の高度化を行っています。セキュリティとプライバシー対策にも投資しており、情報セキュリティ管理を国際規格(ISO 27001)に合わせ、プライバシー管理はISO 27701に準拠、24時間体制の監視運用を実施しています。これらによりデータ品質と規制対応力を高め、広告主や放送・配信事業者から信頼される第三者基準としての地位を強化することを同社は目指しています。