Star Bulk Carriers Corp.SBLK

時価総額
PER
ドライバルク船運航の最大手。スクラバー装備の燃費効率化船とVPR等の航海デジタル管理を展開、艦隊の63%にテレメトリ導入(24年12月末)。24年4月のEagle合併で52隻取得、21年以降13.5億ドル超の配当還元。世界の主要航路で展開。

事業内容

Star Bulk Carriers Corp.はドライバルク貨物の輸送を主業とする海運会社で、自社保有の船隊を使って鉄鉱石、石炭、穀物、肥料などのばら積み貨物を世界各地の航路で輸送しています。同社は船舶の所有・運航を通じて、荷主に対して貨物輸送サービスを提供しています。

主要な顧客は鉄鉱石採掘会社、電力会社、商品トレーディング会社などの大口荷主で、同社はこれらと直接の複数航海契約や長期貸船契約を結ぶことで安定した輸送需要を確保しています。収益は基本的に運賃収入が中心で、長期のタイムチャーターで安定収入を得る一方、スポット運賃の高騰期には航海ごとの契約で上振れを狙う柔軟な収益構造をとっています。

事業面では、同社は大型から中型まで幅広い船型を保有し、商業運航と技術管理を一体で行うことで運航効率を高めています。加えて、スクラバーや船体改良などの燃料効率改善、航海最適化や船舶のデジタル化による排出削減、そして積極的な船舶の買収・売却で船隊を更新し、長期的な価値創造を図っています。

経営方針

同社は長期的な株主価値の最大化を目指しています。成長戦略の中核はフリートの拡大と収益性の向上で、機会があれば買収や合併で規模を速やかに拡大する方針です。実際にEagle Mergerで52隻の船舶を取得しており、取得対価は約6.66億ドル、取得資産の純額は約8.06億ドルとなりました。同社は市場状況に応じて短中期のタイムチャーターとスポット(航海)契約を柔軟に組み合わせ、燃料効率の高い船舶やスクラバー装備船は航海(スポット)を中心に運用して燃料コスト差益を取り込みます。

同社は運航の内製化と差別化によってコスト競争力と安全基準を高めることを目指しています。商務・技術の管理を統合している点が競争優位で、第三者管理から社内管理へ移行した船舶もあります。外部管理に支払った管理費は2022年に約1,907万ドル、2023年に約1,681万ドル、2024年に約1,896万ドルであり、管理形態の最適化で運航費低減を図っています。また、荷主との直接契約や長距離航路の確保に注力し、スケールを活かした大口貨物の輸送で利鞘を狙います。

同社は新市場開拓と事業拡大にも明確な計画を持っています。シンガポールに子会社を置き、Eagle側の事業と統合してアジア市場での商流を強化しており、直接の契約(契約輸送や連続航海)で高い稼働率と収益性を追求します。資本配分は慎重かつ機動的で、好調な市況期には配当や自社株買いで還元する方針を維持しており、2021年以降で累計1.35億ドル超を配当還元、約2,370万株を機会的に買い戻した実績があります。加えて、機動的な資金調達手段として最大1.5億ドル枠の「at‑the‑market」プログラムを保有し、2024年末時点で累計約3,360万ドルの総調達を実行しています。

同社は技術革新を通じた燃費改善と規制対応を重視しており、デジタル化と省エネ投資を積極的に進めています。船舶性能報告システム(VPR)をフリートに展開し、2024年12月31日時点で船舶の63%に遠隔テレメトリを導入、同社はフルデジタル化を2025年末までに目指しています。技術面では燃費改善装置(ESD)を10隻に搭載済みで、さらに2025年に23隻を追加する計画、主機のスライディングバルブ改造や潤滑低減装置の導入、シャフト出力制限によるIMOのEEXI対応、外板の低摩擦塗料採用、ROVによる水中検査・清掃の試行などを進めています。燃料節減は業績連動のインセンティブにも直結しており、燃料コスト削減が累積で一定額(基準は約2.5億ドル)を超えた場合に従業員へ株式報酬を付与する仕組みを設け、2022〜2024年にはそれぞれ約960万ドル、880万ドル、331万ドルを費用計上しています。