SBA COMMUNICATIONS CORPSBAC

時価総額
$209.8億
PER
無線通信インフラの最大手。サイトリース事業(タワー・屋上管理)を展開。2024年12月31日時点で39,749塔保有、同年Q4に中米約7,000サイトを9.75億ドルで買収合意。米国・中南米・カナダ・アフリカ展開。

事業内容

SBA Communications Corporationは無線通信インフラの独立系オーナー兼運営会社で、通信塔や屋上などのサイトを所有・運営し、そこにアンテナ設置スペースを賃貸するサイト賃貸事業を主力にしています。加えて米国を中心にサイトの開発・工事や機器設置といったサイト開発事業も行っており、賃貸事業が収益の大部分を占めます。

同社は少数の大手携帯キャリアに依存する収益構造で、2024年はT‑Mobileが約30.5%、AT&Tが約20.6%、Verizonが約15.1%を占めました。収入の大部分は5〜15年の長期テナント契約による賃料で、契約には年次の賃料上昇やインデックス連動条項が入ることが多く、比較的安定した繰返し型の現金収入を生んでいます。

事業の細部では、国内外でのマルチテナント塔の賃貸が中核で、複数サイトをまとめる包括的契約や個別サイト契約の形態で展開しています。サイト開発では立地探索、許認可支援、塔の建設、アンテナや無線機器の設置・保守まで一貫して手がけ、賃貸事業を補完する形で成長機会を追求しています。

経営方針

同社は長期的に1株当たりの調整後資金創出(AFFO)を増やすことを主要目標に据え、ポートフォリオ拡大と資本配分で成長を図っています。具体的には国内外でのタワー取得と新設を優先し、2024年末時点で保有タワー数は39,749基、うち国際市場は22,285サイト(全体の約30%がブラジル)となっています。資本配分ではまず質の高い資産への投資を行い、その後に株式の自社買い(取締役会は2021年に10億ドルの買戻し枠を承認し、残り約2.05億ドル)や配当(2024年は四半期ごとに1株当たり0.98ドルを支払い、2025年分は第1四半期に1.11ドルを宣言)を通じて株主還元を行う方針です。また、2024年のタワー取得関連のキャッシュ支出は約2.44億ドル、取得を含む総キャッシュ投資は約3.00億ドルでした。

同社は高容量のマルチテナント型タワーを中心に投資し、他社との差別化を図っています。ほとんどのタワーは複数テナントを想定した構造で、2024年末の平均入居数はサイト当たり1.9テナントです。既存サイトの空き容量を最大限活用して追加テナントを低い増分コストで受け入れる営業活動を強化するとともに、土地権利(永続的地役権や長期地代契約)を取得することで将来の賃料変動リスクを抑え、収益性を守る戦術をとっています。加えて、同社はREITとして税制上の要件を満たしつつ、低い配当性向を背景に資産取得と新築を優先する資本政策を維持しています。

同社は新市場の獲得と事業拡大に積極的で、中央米国向けの大型案件などで存在感を高めています。代表的な施策として、中央米国のMillicomと約9.75億ドルで7,000超サイトの買収契約を締結し、買収後はMillicomが15年のマスターリースで一部を借り戻すとともに、同社には今後7年間で最大2,500のビルド・トゥ・スーツ(顧客指定での新設)を独占的に建設する権利が付与されます。さらに、戦略的な新築は完成時に少なくとも1件の入居契約を確保する方針で、国ごとの投資採算や規制環境を精査して取得・新築の可否を決めています。一方で、フィリピンの全資産売却(2025年1月)やコロンビア資産の売却合意(2025年2月)といったポートフォリオ再編も行い、資本の効率化を進めています。

同社は技術面と運用改善を通じてコスト効率と収益性の向上にも取り組んでいます。具体的には、タワーの物理的制約(塔高、風荷重、既存設備や許認可状況)を定量的に評価して利用可能容量を見える化し、追加アンテナ導入や賃料改定を営業に結びつけています。さらに、サイト開発部門でネットワーク設計や許認可取得、工事・設置・保守といった一連のサービスを提供することで顧客との関係を深化させ、塔の稼働率向上と付帯収入の獲得を図っています。会計面でも資産の耐用年数の見直し(従来想定の15年からの修正等)や内部統制の強化を進め、投資判断と財務情報の透明性を高める努力を続けています。