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Silvercrest Asset Management Group Inc.SAMG
事業内容
Silvercrest Asset Management Group Inc. はフルサービスのウェルスマネジメント会社で、超富裕層向けの投資助言と包括的なファミリーオフィス業務を主力サービスとしています。運用資産は2024年末時点で約365億ドル規模で、投資運用と高品質な顧客対応を中核に事業を展開しています。
同社は主に可処分資産が1,000万ドル以上の個人・家族と、公的年金や財団などの機関投資家を顧客にしています。収益は主に裁量運用する資産残高に対する運用報酬が中心で、ファミリーオフィス手数料や助言料、成果に応じた報酬も重要な収入源になっています。
同社の事業は、独自の株式・債券運用戦略を核に、ヘッジファンドやプライベートエクイティなど代替投資や外部マネージャーの選定を組み合わせた投資ソリューションを提供する投資運用部門と、税務・資産管理・会計・ファンド管理・統合報告などを含むファミリーオフィス部門に分かれています。加えて、機関向けの委託運用サービス(アウトソース型の投資運用)や選択的な企業買収・地域拡大を通じた成長戦略も同社の特徴です。
経営方針
同社は今後も資産規模と収益性の両面での拡大を目指しています。直近では資産運用残高(AUM)が2024年12月31日時点で$36.5 billionに達しており、前年末の$33.3 billionから$3.2 billion(9.6%)増加しました。収入は同期間に$123.7 millionへと5.3%増加しており、長期的には2006年の$7.8 billionからの成長(累積年平均成長率で約26%)を背景に、優先度の高い戦略については必要に応じて新規資金の受け入れを制限するなど、パフォーマンス維持を重視した成長管理を行っています。
重点投資分野は米国株式を軸にした独自戦略と高品質な債券運用で、同社はプロプライエタリ(自社運用)戦略で$14.3 billion、全体の約39%を運用しています。なかでもスモールキャップ・バリュー、ラージキャップ・バリュー、エクイティ・インカム、マルチキャップ・バリュー、スモールキャップ・オポチュニティが上位を占め(各々21%、19%、14%、11%、9%)、特定の銘柄選定と厳格な売買ルールによってリスク管理と一貫したリターンを追求しています。加えてファミリー向けの包括的な事務サービスを提供し、手数料収入の分散化と顧客ロイヤルティ向上を図っている点も差別化要因です。
新市場開拓と事業拡大については、有機的成長に加えて選択的な人材採用と買収を並行して進める方針です。同社は機関投資家向けの委託運用(OCIO)能力を整備しており、公共年金や財団などからの運用受託獲得を通じてマージン拡大を狙っています。地理的には米国のウェストコースト、サウスウエスト、ミッドウエストに追加拠点を設ける計画を掲げており、過去の9件の戦略的買収で培った統合ノウハウを活用して、買収先の顧客基盤と運用能力を迅速に取り込む体制を整えています。
技術革新への取り組みでは、カスタマイズしたポートフォリオ設計やリスク解析ツール、連結レポーティングやファンド管理の社内基盤を強化し、サービスの水準を保ちながらスケールさせることを目指しています。広告・ブランド投資による認知向上(選定したメディア出稿やCNBC出演など)も継続しており、またサイバーセキュリティや内部統制の強化に投資することで顧客データ保護と規制対応を進めています。こうした技術と運用の両輪で、同社は高額資産層と機関のニーズに応える運用・事務サービスの提供を目指しています。