Science Applications International CorpSAIC

時価総額
$40.6億
PER
政府向けIT・技術統合サービスの米国大手。ITモダナイゼーション、デジタルエンジニアリング、AI統合、訓練・シミュレーションを展開。2023年5月に物流事業をASRCに売却、2024年2月に5事業グループへ再編実施。米国中心に展開。

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企業概況
112文字)
業績概況
テーマ
3項目)
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Science Applications International Corpは、主に米国政府を顧客とする技術統合企業で、ミッションに直結するシステムの設計から導入、運用・維持まで一貫してサービスを提供しています。同社は情報技術の近代化、デジタル設計、人工知能(AI)の導入、訓練やシミュレーション、武器システムや地上車両のサポートといった分野を主力としています。

主要顧客は国防総省や情報機関、NASA、国務省、司法省、国土安全保障省などの連邦機関に加え、州・地方自治体も含まれ、約1,700件の契約を通じて案件を受注しています。同社の収益は長期受託サービスが中心で、契約ベースの人員と下請け業務がコストの大部分を占め、売上の大半を米国内で計上しています。

事業は顧客向けの五つの事業グループに分かれており、それらを性質に応じて「防衛・情報セグメント」と「民間セグメント」の二つの報告区分に集約しています。同社は社内のイノベーション組織を活用してクラウドやサイバー対策、データ分析などのソリューションを「一貫したサービス」として組み合わせ、設計から運用・保守までを通じて顧客のミッション達成を支えています。

経営方針

同社は安定的な成長と株主還元の両立を目指しています。具体策として、2024年2月に従来の2部門を5つの顧客志向の事業グループに再編し、国防・情報と民間の二つの報告区分で資源配分を最適化することで、契約獲得と履行効率の向上を図っています。財務面では2024年12月に最大12億ドルの自社株買い枠を承認し、四半期配当は1株あたり0.37ドル(年合計1.48ドル)を継続して支払う方針を示すなど、キャッシュ配分で明確な数値目標を設定しています。

同社はIT近代化、デジタルエンジニアリング、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、兵器システムや訓練・シミュレーションなどの分野に重点投資して差別化を図っています。差別化の核は約1,700件のアクティブ契約と約24,000人の人員を通じた顧客との深い関係、ならびに「Innovation Factory」によるエンタープライズ向けソリューションの内製化です。加えて、提供形態を「サービス化/マネージドサービス化」して反復可能な商品にすることでコスト競争力を高め、価格競争の激化する政府案件での落札力を高める施策を進めています。

新市場や事業拡大については、重点外の事業の切り離しや戦略的買収・投資を通じて資源を集中する方針を取っています。例として2023年にロジスティクス・サプライチェーン事業を売却して資源を成長分野に振り向け、ベンチャー投資やジョイントベンチャーも活用して技術的なアドバンテージを獲得しています。Morpheus Dataの投資売却では現金収入10百万ドルと税引前の利益5百万ドルを計上するなど、投資の出口も視野に入れた拡大戦略を取っています。

技術革新への取り組みでは、同社は自社資金による独自研究開発(IR&D)と顧客契約に基づく研究を併用し、技術転換を加速させています。会社負担のIR&D費用は2025年度で約1,200万ドルに増加しており、これは2023〜2024年の水準から大幅な増加です。また、AIを組み込んだ運用支援やデジタル設計・モデリング、厳格なサイバー対策(継続的監視、侵入検査、インシデント対応計画)を実行して、ミッションクリティカルな運用における信頼性と安全性を高めることを目指しています。