SONIC AUTOMOTIVE INCSAH

時価総額
$22.9億
PER
フランチャイズディーラーと中古車小売を手掛ける自動車小売の米国最大手。EchoParkのオムニチャネル中古車専門店と整備・部品、延長保証やF&I商品の販売を展開。2024年に約5,530万ドルで複数事業を買収、同年にClassA株を約0.6百万株、約3,440万ドルで買戻し。米国18州で展開。

事業内容

SONIC AUTOMOTIVE, INC.は米国の大手自動車小売業者で、フランチャイズの新車販売店、専門の中古車小売チェーン(EchoPark)およびパワースポーツ事業を運営しています。同社は新車・中古車の販売に加え、部品・整備、メーカー保証修理、延長保証や保険などのアフターサービス、第三者による自動車ローンやリースの仲介といった付帯サービスを提供しています。

同社の主要な顧客は個人の自動車購入者やリース返却を含む中古車需給源、さらにフリートやリース会社などで、収益構造は複数の収入源で構成されています。売上の大半はフランチャイズ部門が占め(2024年は約84%)、EchoParkが中古車販売で約15%を占める一方、整備・部品やファイナンス・保険の手数料収入が利益率の向上に重要な役割を果たしています。

同社は事業をフランチャイズ、EchoPark、パワースポーツの三つのセグメントで展開しており、2024年末時点でフランチャイズ約108店舗、EchoPark18店舗、パワースポーツ15店舗を運営しています。フランチャイズ部門は複数ブランドの新車・中古車販売と固定整備部門やF&Iを一括で提供し、EchoParkは主に店頭とオンラインを組み合わせた中古車小売モデル、パワースポーツ部門はオートバイやマリン製品などの販売と整備で収益を上げています。

経営方針

同社は収益性の高いブランドポートフォリオと効率的な資本配分によって株主価値の最大化を目指しています。具体的には標準化した店舗運営マニュアル(オペレーティングプレイブック)の継続的な実装で有機的成長を図り、2024年の調整後EBITDAは約560.1百万ドル(フランチャイズ部門が約526.2百万ドル)を記録しました。資本政策では、2024年に約0.6百万株を約34.4百万ドルで自己株式取得し、同年末時点で約252.3百万ドルの残余買戻し枠を維持するとともに、年間配当は2024年に合計1.25ドル、2025年春に四半期配当0.35ドルを承認するなど、現金還元と投資のバランスを重視しています。

同社は高付加価値分野への重点投資で差別化を図っています。具体的には、部品・整備・板金といった固定オペレーションの拡充、第三者保険や延長保証などのアフターマーケット商品の販促(メニュー方式の販売手法採用)に注力し、利幅の大きい収益源を拡大しています。加えて、高度な整備機器導入や技術者教育への投資を進めることで、メーカー保証修理や認定中古車の整備対応力を高め、顧客のリピート獲得と単価向上を狙っています。

同社は新市場の開拓と事業拡大を選択的に進めています。買収方針は人口増加や車両保有率の高い市場を優先し、2024年はNorth Point VolvoやAudi New Orleans、パワースポーツ関連の事業を含めて合計約55.3百万ドルの買収を実行しました。一方で採算性の低い店舗は閉鎖や売却で整理しており(EchoParkの一部店舗閉鎖等)、中古車専門のEchoPark事業は18店舗で全社売上の約15%を占めることから、オムニチャネルを活用した中古車小売の拡大も継続的な成長戦略の柱としています。ただし買収や在庫は主にフロアプラン(2024年末で約1.9十億ドルの残高)やモーゲージ融資で賄うため、融資条件や契約上の制約を踏まえた慎重な資金運用を行っています。

同社は技術革新による顧客体験の向上を目指しています。EchoParkではオンラインと店舗を融合させた購買体験の整備を進め、在庫は卸売やリース返却、オークションなど多様な経路で確保しています。内部的には会計・情報システムの標準化やバックオフィス共通化を進めることでスケールメリットを追求し、金利変動リスクにはSOFR連動債務に対する金利キャップなどヘッジ手段を活用している点も具体的施策です。また電動車両の普及による部品・整備収入への影響を注意深くモニターし、必要に応じて設備とサービスの再配備を行う準備をしています。