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Safehold Inc.SAFE
事業内容
Safehold Inc. は、土地の長期リース(地上権型リース)に資本を供給する不動産金融会社で、土地所有を保持しながら建物所有者に長期間の土地利用を許可する仕組みを中心に事業を展開しています。同社は土地を保有して借地人から定期的な地代を受け取り、建物の賃貸運営や開発は借地人が引き続き行う形で、投資家に安定的な収益機会を提供しています。
主要な顧客はオフィス、ホテル、商業施設、住宅開発といった不動産所有者やデベロッパーで、同社の収益は主に借地人からの定期的な地代収入が中心です。加えて、リースの形態によっては利息相当の収入やリース売却による利益、関連する管理手数料も収入源となっています。
事業構成は地上権事業を単一の報告セグメントとしており、既存ポートフォリオの運用と新規地上権の組成・取得に注力しています。これに加えて、開発前の地上権を扱うファンドや借地権を担保とするローンなど、リスク・リターンの異なるジョイントベンチャーも運用しており、資産売却や運用による価値創出を図っています。
経営方針
同社は長期のグラウンドリース(敷地を長期で貸す契約)を中核に、安定的かつ成長する収益の獲得を目指しています。2024年の業績では1株当たり利益が1.48ドル、同年の総支払利息は約1.98億ドル、一般管理費は約5,492万ドルといった数値を示しており、資本コストや営業費用を細かく管理して投資採算を確保する方針です。資金面では2025年2月に取締役会が自己株式買い戻し枠として最大5,000万ドルの承認を行い、加えて公募で最大3億ドルまでの株式売却(ATM)枠を整備しており、資本政策の柔軟性を高めることで成長投資と株主還元を両立させることを目指しています。
同社は重点的にグラウンドリースの取得・運用・資本化に投資しています。グラウンドリースは土地所有者が土地を長期貸し出し、借地人が建物を所有・運営する仕組みで、同社は賃料の継続的な入金と満期時の残余価値(UCA)に着目して収益を生み出します。差別化要因としては、賃料のカバー率やキャッシュ利回り、コスト・バリュー比率など独自の資産評価指標を用いて投資採算を厳格に審査する点、またiStar由来の取引ネットワークや大口パートナーとの共同投資(2023年に主導したジョイントベンチャーでは同社は約2.75億ドルをコミットする一方で相手は約2.25億ドルを出資)を活用する点が挙げられます。2024年はStar Holdingsからの管理報酬が約1,680万ドルあり、パートナー関係を通じた収益機会も確保しています。
新市場や事業拡大では、既存のグラウンドリースに加え、プレ開発段階の案件やリースホールドローン等リスク・リターンの異なる商品にも段階的に参入しています。具体的には、グラウンドリースを中心とする2つのベンチャー(グラウンドリース・プラス基金やリースホールドローン基金)を通じて多様な投資機会に取り組み、将来的な取得規模の拡大やポートフォリオ多様化を狙っています。公開市場での資金調達(2023年の公募で約1.39億ドルの調達実績)と直近の資本政策枠(自己株買い・ATM)により、買収・共同投資・開発支援のための資金供給力を高める計画です。
技術革新と運用の強化にも注力しており、同社は情報開示の統制や内部統制を重視していると公表しています。2024年12月31日時点でCEOとCFOは開示管理体制の有効性を確認しており、独立監査人(Deloitte)が内部統制の有効性を監査済みです。またサイバーセキュリティ対策として社内ブリーフィング、外部コンサルや脅威情報の活用、セキュリティツールの導入を実施しており、従業員74名(2024年末時点)への研修や学習管理ツールを通じて人的資本とデジタル防御の両面で運用リスクの低減を図っています。