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REDWOOD TRUST INCRWT
事業内容
REDWOOD TRUST INCは、住宅ローンやそれに関連する証券への投資とモーゲージバンキング事業を展開する上場の投資会社です。同社は投資用の住宅ローンの組成・取得・販売やローンを束ねて証券化する業務を中心に、近年はCoreVestなどを統合した投資家向けローンのプラットフォームやホームエクイティ投資(HEI)など新しい融資商品にも取り組んでいます。
同社の主要な顧客は住宅ローンの借り手(投資用や消費者向け)と、それらのローンや証券を買う機関投資家やファンドです。収益はローンや保有証券からの利息収入、ローン組成・販売や証券化に伴う手数料収入、そして投資の売買で得られる益や損失で構成されており、市場金利や信用状況の変化で変動します。
同社の事業セグメントは、投資用住宅ローンの起源・取得・流通を担うローンプラットフォーム、HEIや余剰モーゲージサービシング権(MSR)などを含む投資ポートフォリオ、さらに共同投資やベンチャー投資を通じた不動産・フィンテック関連の成長投資に分かれています。運用資産の組成や流動性管理でポートフォリオ配分を調整し、収益機会の獲得とリスク管理を両立させています。
経営方針
同社は成長と株主還元の両立を目指しています。具体的には、取締役会が普通株の自社株買いを最大1億2500万ドル、優先株を最大7000万ドルまで承認しており、転換・交換可能債の買戻しも継続的に行う方針です。実績としては、2024年に約7200万ドル、2023年に約8100万ドルの転換・交換可能債を早期償還しており、2024年12月31日時点で普通株買戻し枠として1億100万ドル分、優先株は7000万ドル分が残っています。さらに同社はREITとして税法上の要件(課税所得の少なくとも90%配当)を満たしつつ、利益と配当の持続的な向上を図ることを掲げています。
同社は投資分野を戦略的に広げることで差別化を図っています。2019年以降にCoreVest、5 Arches、Riverbendの3つの住宅投資家向けローン組成プラットフォームを買収して一つのプラットフォームに統合し、住宅投資家ローンの組成・取得・売却・証券化を一貫して行う体制を築きました。加えて、2023年に立ち上げたAspireという住宅向けHEI(ホーム・エクイティ・インストゥルメント)組成プラットフォームや、RWT Horizonsによるフィンテック/不動産テック分野へのベンチャー投資を通じて、再パフォーミング/ノンパフォーミング債や多棟物件向けローン、下位担保ローン、過剰モーゲージサービシング権(MSR)やサービサー前払金といった高付加価値領域にも資本を配分しています。このように、起点となるローン組成力と資本市場での証券化能力を組み合わせることが差別化の中心です。
新市場開拓と事業拡大については、外部投資家と共同でジョイントベンチャーやファンドを設立し、第三者資本を取り込む形で機会を拡大する計画を進めています。すでに複数の共同投資スキームや多棟向けファンドの立ち上げを実施しており、将来的には投資助言・資産運用ビジネスへも事業領域を広げて手数料収入やインセンティブを得ることを念頭に置いています。ただし同社自身も公表している通り、これらの施策は従来の住宅ローン取引とは異なる信用リスクや規制リスク、遅延・差押えなどのリスクを伴うため、資本配分や流動性管理を慎重に行う方針です。
技術革新への取り組みとしては、ブロックチェーンやAIを組み込んだ証券化・業務プロセスの導入検討を進めており、RWT Horizonsを通じて関連スタートアップへ戦略的に出資しています。サイバーセキュリティ面では取締役会(監査委員会)による四半期報告や事案発生時の迅速なエスカレーション体制を整備しており、IT部門にはCISSPやCISA資格者が在籍するなど人材面での備えも示しています。内部統制はCOSOフレームワークに基づく評価で有効と判定され、独立監査人(Grant Thornton)からも無限定意見を受けるなど、技術導入とガバナンスを両輪で進める姿勢をとっています。