Revolution Medicines, Inc.RVMD

時価総額
$130.2億
PER
臨床段階の精密オンコロジーの新興企業。RAS向け小分子やSHP2、mTORC1選択的阻害剤などの治療候補を展開。2023年11月のEQRx買収で約11億ドルの現金等を取得、2024年3月にAethonと共同研究契約締結。米国本拠で従業員534名、米国中心に展開。

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企業概況
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業績概況
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ブランド
ライバル企業
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同業種の日本企業
1社)

事業内容

Revolution Medicines, Inc.は、がんの主要な駆動因子であるRAS経路を標的にした臨床段階の精密腫瘍学企業で、特定の遺伝子変異を持つ腫瘍を狙う経口小分子薬の創薬と開発に注力しています。主力は単剤や他剤との併用を想定した複数の臨床候補で、安全性と効果を確認するための臨床試験を進めています。

同社は現在、最終製品の商業販売を行っていないため、売上の大部分は提携先製薬企業からの前払金や研究費の償還、ライセンス収入、そして資本市場を通じた資金調達に依存しています。2023年のEQRx買収で現金や有価証券を取り込み、開発資金の基盤を強化しています。

事業は複数の開発プログラムに分かれ、RAS(ON)阻害剤やKRAS変異に選択的に働く候補、さらにSHP2、mTORC1、SOS1などを標的とする補助的阻害剤(コンパニオン薬剤)を含むパイプラインを有しています。製造や一部の試験運営は外部の受託企業に委託しており、将来の商業化に向けて米国内での販売・マーケティング体制の整備も進めています。

経営方針

同社は成長のために研究開発から商業化への一貫した推進を目指しています。直近では2023年のEQRx買収により約11億ドルの現金・有価証券を獲得し、2024年には最大5億ドルの枠を持つATM(随時株式売出し)プログラムを導入するなど財務基盤を強化しています。株式市場での時価総額は2024年6月末時点で約65億ドルに達しており(普通株式の発行済株式数は2025年2月時点で約1.86億株)、研究開発人員が全従業員534人中423人と占める比率の高さからもわかるように、まずは臨床パイプラインの前進と将来的な製品化を見据えた投資を優先しています。

重点投資分野としては、従来治療が難しかったRAS関連変異を標的とする精密腫瘍療法に注力しています。同社はKRASやNRASの特定変異向けに「選択的に作用する阻害剤」や、SHP2・SOS1・mTORC1などを標的とするいわゆる補助的阻害剤を開発しており、治療効果を高めるために単剤だけでなく併用療法の開発にも力を入れています。差別化点は、従来の分子設計では到達しにくかった標的部位に作用できる化学技術(いわゆる“Beyond Rule of 5”に相当するアプローチ)を用いて、特定の変異に高い選択性を持たせた薬剤を目指していることです。

新市場開拓や事業拡大については、同社は権利を基本的に保持したまま米国を中心に自社での商業化体制を整備する方針を示しています。一方で販売力や流通能力を補うために他社と協業する選択肢も残しており、地域や適応症によってはパートナーと共同で展開する可能性があります。製造面では外部の受託製造業者(CMO)に依存する方針を継続しつつ、必要に応じて追加の供給契約や監査で品質と安定供給を担保する計画です。またM&Aや戦略提携を過去に実行しており(Warp Drive買収、EQRx買収など)、今後も資金や技術の補完を目的とした選択的な企業取引を検討する姿勢です。

技術革新への取り組みとしては、次世代候補物質の前臨床開発や、がん免疫を狙う新たな手法の探索にも投資しています。具体例としては、RAS阻害剤に協調する“コンパニオン阻害剤”群や、Aethonとの二本鎖抗体に関する共同研究など、複数の技術軸で臨床的価値の向上を図っています。また、上場企業として内部統制やサイバーセキュリティの整備にも注力しており、研究開発の安全性と事業運営の信頼性を同時に高めることで、長期的な技術競争力の維持を目指しています。