REGAL REXNORD CORPRRX

時価総額
$91.1億
PER
産業用電動機・動力伝達機器の大手。高効率モーターや可変速ドライブ、工業用パワートレインを展開。2023年3月にAltraを買収(買収総額約51億ドル)、2024年4月に一部事業を売却し損失9,540万ドル。北米・欧州・中国・インド・メキシコで展開。

事業内容

REGAL REXNORD CORPは工場や建物向けの動力伝達機器と電動機器の設計・製造・販売を行うメーカーです。同社は電動モーターや可変速駆動装置、軸受やカップリング、ギアボックスといった機械部品に加え、これらを組み合わせた統合的なパワートレインや自動化ソリューションを提供しています。

主要な顧客は機械メーカー(OEM)、販売代理店、そして最終ユーザーで、売上は直接販売と代理店経由の両方で成り立っています。同社は受注販売や長期契約、アフターサービス向けの部品供給を組み合わせて収益を確保しており、特定の大口顧客に依存しない売上構造を維持しています。

事業は大きく産業用動力伝達(IPS)、省エネモーター・駆動(PES)、自動化・モーション制御(AMC)の三つのセグメントに分かれています。IPSは伝達部品や統合パワートレイン、PESは空調や家電向けの小型モーターや制御装置、AMCはコンベヤーや精密制御、電力管理製品を中心に展開しており、同社は省エネや組み込み型の監視・予防保全機能の導入で付加価値を高めています。

経営方針

同社は「収益性の高い成長を加速し、利益率と資本収益率を高める」ことを基本戦略に据えています。具体的には、買収によるポートフォリオ強化や余剰資本の返還でバランスシートを強化し、将来的なシナジーのある買収に投資する方針です。実際にオートメーション分野強化のために約51億ドルでAltraを買収しており(買収は2023年完了)、同社は中期的に新製品投入を倍増させる目標を掲げ、フリーキャッシュフローを成長投資と株主還元(例えば上限5億ドルの自社株買い枠)に活用する計画です。

重点投資はエネルギー効率や組み込み知能、可変速技術を中核とした製品開発と、顧客向けの統合ソリューションに向いています。差別化の柱は、高効率モーターと伝動部品を組み合わせた「パワートレイン」などを単一窓口で提供する能力で、これにより顧客の設計・調達負担を下げトータルコストを抑えられる点を強調しています。加えて、同社は「Regal Rexnord Business System」という継続的改善の仕組みと80/20の考え方で、限られた投資を最も価値の高い製品や顧客に集中させることで競争優位を築いています。

事業拡大では、買収と選別によるポートフォリオ再編を進めています。Altra買収で自動化領域への商圏を大きく広げる一方、非中核の産業用モーター・発電機事業は2024年4月に売却しており、売却対価の公正価値は約4.37億ドル(売却損は約9,540万ドル)でした。今後は、住宅用空調、食品・飲料、データセンター、代替エネルギーなどの成長が見込まれる分野へ投資を集中し、OEMの「初期採用(first fit)」案件やアフターマーケット需要の取り込みで収益の安定化を図る計画です。また、グローバルな生産拠点の柔軟な稼働で供給やリードタイムの優位性を活かします。

技術革新については、同社は研究開発を「省エネ」「組み込みの情報化」「状態監視・予知保全」に重点化しています。自社の開発・試験設備や特許で品質と性能を担保しつつ、製品に通信や診断機能を組み込み、顧客の運用効率を高めるスマート製品を推進しています。加えて、環境面の取り組みとしてはScope1・2のカーボンニュートラルを2032年に、Scope1〜3でのネットゼロを2050年までに目指しており、これらの達成に向けた技術投資や製品改良を進めることで、規制対応と市場ニーズの両面での競争力向上を図っています。