RANGE RESOURCES CORPRRC

時価総額
$89.1億
PER
天然ガス・NGL・原油の探査・開発・生産・販売の大手。マルセラスシェールで推定3,190万ラテラルフィートのマルチイヤー掘削在庫を保有。2024年に2,050,000株を買戻し、残買戻し枠は約10億ドル。米国アパラチア地域のペンシルベニア州。

事業内容

Range Resources Corporationは、米国アパラチア地域を中心に天然ガス、天然ガス液(NGL)や原油の探査・開発・生産を手がける独立系エネルギー会社です。同社は特にペンシルベニア州のマルセルス層を主力操業エリアに集中し、掘削から生産までの一連の活動で安定的な供給と収益性を確保しています。

同社の収益は主に自社が操業する井戸で得た天然ガスやNGL、原油の販売から生まれます。天然ガスは電力会社や販売・中流企業、産業ユーザーに、NGLは石化用途の企業やトレーダーに、原油は精製業者や輸送・販売業者に販売し、価格変動の影響を抑えるために先物などのヘッジ取引も活用しています。

同社は事業を単一セグメントで運営し、操業地域を絞ることで地質や作業条件に精通してコスト効率を高めています。数年分の掘削候補を保有するマルチイヤーの掘削在庫や、低い減衰率の長期埋蔵量を重視し、第三者の処理施設を利用してガスからNGLを分離・販売するなど、上流から販売までを踏まえた効率的な事業運営を行っています。

経営方針

同社は持続的なキャッシュ創出と株主還元を両立させる成長を目指しています。2025年の資本予算は6.50〜6.90億ドルを見込み、その内訳は掘削費に5.70〜6.00億ドル、用地やその他に0.80〜0.90億ドルを充当する計画です(買収は別枠で予算化しません)。この予算は2024年の設備投資6.54億ドルに整合しており、2025年は生産量を2024年(平均日量2.18 Bcfe)比で「緩やかに」増やすことを目標としています。同社は事業循環に耐えるため、2024年末時点で現金3.045億ドルと銀行枠13億ドルを確保しており、配当(2024年は7,750万ドル、1株当たり0.32ドル)や自社株買い(2024年は6,530万ドル)を続けながら投資資金を柔軟に調達できる体制を維持しています。

同社はペンシルベニア州を中核に据え、コスト優位性を高めることを重点投資分野と差別化戦略にしています。マルセルス層を中心に31.9百万フィート相当の中長期掘削インベントリを保有し、ほぼ全量を自社で操業することで掘削・生産の効率化を図っています。経費面でも輸送・集荷・処理費が1.48ドル/mcfe、直接操業費は0.12ドル/mcfeと低水準を追求しており、2024年は52本の純掘削井で成功率100%を達成するなど掘削技術と現場運用で優位を保っています。また、天然ガス、NGL(天然ガス液)、原油を多数の国内外顧客に多様な契約条件で販売し、複数のパイプラインにおける確定輸送契約を持つことで価格や市場リスクを分散しています。

同社は選択的な面積買収とコア地域の集約を通じて事業拡大を進めています。2024年は未確認鉱区の取得に5,790万ドルを投じ、今後もマルセルス層でのリース取得や更新により資産基盤を固める方針です。販売面では中西部、メキシコ湾岸、南東部、北東部、国際市場へ輸送できる体制を生かして需要動向に応じた最適な販売ルートを選択し、ヘッジ取引(デリバティブ)で実現価格の安定化を図っています。資本配分は案件ごとに判断する一方で、通常は事業キャッシュフローで投資を賄う考えですが、必要時には銀行借入や債券・株式発行で補完する柔軟性を確保しています。

同社は掘削・完成工法や貯留層評価などの技術革新を経営の中心に据え、資源回収率の向上とコスト低減を追求しています。掘削・完成の継続的改善により既存埋蔵量からの回収を高めるとともに、環境面では生産水のほぼ100%リサイクルやMiQ認証でA評価を維持するなど技術と商慣行で影響を最小化しています。さらに従業員全員への株式付与や業績連動報酬で現場と経営の利害を一致させ、技術・運用の改善を現場主導で継続的に実行する体制を整えています。