Ranger Energy Services, Inc.RNGR

時価総額
$3億
PER
油田向けサービスの有力企業。高規格ウェルサービスリグ、ワイヤライン、処理・補助サービスを展開。CSLが議決株16%保有、2024年12月31日時点で従業員約1,950人、2024年3月に総額85.0百万ドルの自社株買い枠承認。米国中心に展開。

事業内容

Ranger Energy Services, Inc.は米国で石油・天然ガスの生産現場向けサービスを行う会社です。主力は高仕様の井戸サービスリグやワイヤライン、処理・付帯サービスで、油井の完成作業や保守・修理、関連機器の稼働支援を通じて顧客の生産を支えています。

同社の主要顧客は探査・開発・生産を行う石油・ガス企業で、2024年は上位4社が売上の大きな割合を占め、上位5社で約65%を構成しました。収益はリグの稼働時間やワイヤラインのステージ完了数、案件ごとの請求に応じて変動し、稼働量が直接的に売上に結び付きます。

同社は事業を高仕様リグ、ワイヤラインサービス、処理・付帯サービスの三つのセグメントで展開しています。高仕様リグは完成支援・大規模修繕・日常保守を担い、ワイヤラインは生産立ち上げや介入・配管回収を行い、処理・付帯では機器レンタルやコイルチュービング、廃井や処理ソリューションなどの補完的サービスを提供しています。

経営方針

同社は中長期的に「着実な成長と収益性の改善」を目指しています。経営陣は2025年に前年並みかやや改善した業績を見込んでおり、国際エネルギー機関や米エネルギー情報局の需要・生産見通しを踏まえつつ、リグ稼働時間やワイヤラインのステージ数といった稼働指標で収益を押し上げる方針です。財務面では、株主還元を重視しており、2024年の四半期配当は通年で1株当たり0.20ドルを支払い、株式買戻しプログラムは合計85百万ドルを上限に設定して2027年まで活用可能としています。経営判断の主要な業績指標としては、調整後EBITDAを用いセグメント別の資源配分を行っています。

同社は重点的に「高仕様リグ」と関連サービスへの投資を進め差別化を図っています。具体的には、水平井の完了作業やワークオーバー、保守といったライフサイクル全体をカバーできるリグ群を保有することで、景気変動時にも高い稼働率を維持することを狙っています。人材面では約1,950名の正社員を有し、現地に密着した営業体制と長期取引先との部品調達関係を強化しており、安全記録や低い負債水準を競争優位と位置づけています。これらにより、単発の価格競争ではなくサービスの幅と信頼性で差をつける戦略です。

事業拡大では、既に米国内の主要シェール盆地(パーミアン、デンバー–ジュールズバーグ、バッケン、イーグルフォード、ヘインズビル等)で事業を展開している強みを活かし、選別された「収益性の高い買収」を通じた地理的・サービス幅の拡大を目指しています。同社は成長機会として補完的な機器レンタルやコイルチュービング、プラグ・廃井処理、処理ソリューションを組み合わせて顧客の掘削から廃井までの支出をより多く取り込む方針であり、追加資本が必要な場合は借入や資本政策を検討しつつ、既存の株主還元プログラムも継続する意向です。

技術革新とリスク管理にも注力しており、サイバーセキュリティーへの投資や従業員教育を進めています。具体的施策として定期的な脆弱性評価、インシデント対応計画、外部専門家の活用、過去2年間にわたる従業員向けの意識向上プログラムを実施しており、情報システム責任者が最高財務責任者に報告するとともに、監査委員会が年次で状況を確認しています。また、顧客ニーズや技術進化に応じて機材の更新やモジュール式設備の導入、必要時には新型リグの取得に向けた投資を検討することで、サービス品質と作業効率の継続的改善を図っています。