Avidity Biosciences, Inc.RNA

時価総額
$90.8億
PER
AOCプラットフォームによる核酸医薬開発の有力企業。AOC技術を用いたオリゴ核酸薬と3候補の臨床開発を展開。2023年11月にBMSが約1億ドルで出資。米国・欧州を中心、本社はカリフォルニア州サンディエゴ所在。

事業内容

Avidity Biosciences, Inc.は、抗体と遺伝子に働きかける薬を結び付けて筋肉などの標的組織に正確に届ける独自のプラットフォーム技術を使い、希少筋疾患や心血管領域向けの治療候補を開発する臨床段階のバイオ企業です。同社はこのプラットフォームで探索から治験までを進め、体外や動物での基礎研究を臨床応用につなげています。

同社はまだ製品販売による安定した売上を持たず、収入の中心は大手製薬企業との共同研究契約やライセンス前払金、達成型のマイルストーン、将来のロイヤルティーから来ています。例えばBristol Myers Squibbとの提携で数千万ドル規模の前払いや株式購入を受け取っており、加えて公募や私募による株式発行で研究開発資金を調達しています。

事業は大きくプラットフォーム研究と個別の治療候補開発に分かれ、臨床段階の候補が複数走っている点が特徴です。主な開発領域は筋ジストロフィーなどの筋疾患と心血管関連で、知的財産の蓄積や外部パートナーとの共同開発、外部委託による製造体制の構築を通じて商業化を目指しています。

経営方針

同社は安定した臨床開発の継続と商業化に向けた成長を目指しています。具体的には2024年末時点で現金・現金同等物・有価証券を約15億ドル保有しており、同年に私募や公募で数億ドル規模の資金調達(3月の私募で約3.8億ドル、6月と8月の公募でそれぞれ約4.3億ドル、約3.2億ドルのネット調達)を実施して運転資金を確保しました。これにより直近の事業計画を少なくとも12か月資金面で支える見込みであり、必要に応じて追加の公募や提携による資金調達手段(最大4億ドルの販売契約など)も維持しています。

同社は研究開発と製造能力に重点投資しています。最も投資を集中しているのは、筋肉や心臓など肝臓以外の臓器へ薬剤を運ぶ独自のAOC(抗体‑オリゴヌクレオチド結合)プラットフォームの臨床化および安全性・製造プロセスの最適化です。差別化戦略としては、AOCを用いることで標的臓器への有効投与を目指す技術的優位性と、米国で40件の発行特許と30件の出願を持つ知財ポートフォリオを背景に、競合が少ない領域で早期の臨床データ獲得を狙っています。

同社は新市場開拓と事業拡大をパートナーシップ重視で進めています。例としてブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)との共同研究契約では心血管分野で最大5ターゲットを選定し、研究完了後は相手先が個別に開発・製造・商業化する権利を得る枠組みを設け、同社は最大約1.35億ドル(研究段階)と約8.25億ドル(商業段階)のマイルストーンや段階的ロイヤリティを受け取る可能性があります。こうした共同開発により自社での全額投資リスクを抑えつつ、適応拡大と早期の市場導入を図っています。

同社は技術革新を経営の中心に据えています。AOCプラットフォーム自体の改良、投与効率や安全性プロファイルの向上、製造のスケールアップや品質管理体制の整備に継続投資しており、前臨床から臨床への移行を加速させるために外部CRO・CMOとの連携や共同研究体制を強化しています。短期的には臨床候補3品目の治験進行とデータ確証を優先し、中長期的にはプラットフォーム技術を複数適応へ展開して商業的な成長を実現することを目指しています。