Ryman Hospitality Properties, Inc.RHP

時価総額
$54.2億
PER
ホテル・エンターテイメント事業の大手。大規模コンベンションホテルとライブ会場、マリオット管理物件や研修施設を保有。2022年6月のOEG取引でAtairosから約2.96億ドルの出資を受領、2023年6月に公募で約3.95億ドルを調達。米国中心に展開。

事業内容

Ryman Hospitality Properties, Inc.は大規模なコンベンションホテルやエンターテインメント施設を中核に保有・運営する不動産投資信託(REIT)です。同社は宿泊施設や会議スペースの所有・改修を行い、会議・展示会向けの大型施設やコンサート会場などの物件運営を通じて収益を上げています。

主要顧客は学会や企業の会議・研修を手配する団体、イベント主催者、観光・レジャー客で、客室料金、飲食・宴会収入、会場貸出料、チケット販売などが収益の大半を占めます。同社は多くの物件をマリオット等の大手ホテル運営会社に委託する長期管理契約を有しており、団体予約や管理契約を通じて収入の安定化を図っています。

事業は主にホスピタリティ(大型ホテル・コンベンションセンター)、エンターテインメント(劇場やイベント会場)、アトラクション系(観光施設や体験型施設)のセグメントに分かれています。同社のポートフォリオにはGaylord系列の大型リゾートやRyman Auditorium、Block 21(ACL Live を含む複合施設)などがあり、各セグメントで客室・飲食・チケット・イベント関連の複数の収益源を持っています。

経営方針

同社は安定した配当を維持しつつ、規模の大きなグループ向け宿泊・会議施設やエンターテインメント資産を取得して長期成長を図ることを目指しています。具体的には、2023年にJW Marriott Hill Countryを取得(連結貸借対照表上の純資産は約8億96万ドル)し、同年の公募で約440万株を1株93.25ドルで売却して純収入約3億95百万ドルを調達するなど、株式と債務を組み合わせた資本政策で成長投資を実行しています。配当面では2024年に1株当たり合計4.45ドル、総額約2億6830万ドルを支払っており、税法上のREIT資格を維持するため「課税所得の100%を最低配当する」という方針を掲げる一方、与信契約上は資金運用面から年間の分配が資金創出(FFO)の95%を超えないよう制約がある点も明確にしています。

重点投資分野は、大規模コンベンションホテルや会場運営、エンタメ複合施設であり、これが同社の差別化戦略の中核です。Marriottとの長期的な運営契約を中核に据え、会議・団体ビジネスに強い施設群(Gaylordブランド等)を中心に、W AustinやACL Liveを含むBlock 21(購入価格は最終的に約2億55百万ドル、既存借入約1億36百万ドルを引き継ぎ)などエンターテインメント要素を組み合わせた複合ポートフォリオを構築しています。運営をMarriottに委ねることで高稼働・高単価の顧客基盤を確保する一方、管理契約には競合への売却制限などがあり、こうした制約を受け入れてでも運営品質と収益性を優先する戦略を採っています。

新市場開拓と事業拡大では、アトラクション/エンタメ事業の再編を通じた価値創出を重視しています。2022年にはOEG(アトラクション事業)持分の30%を約2億96百万ドルで売却して資金を調達しつつ70%を維持する形で、同事業の成長機会を引き続き取り込める構造にしています。OEG投資家には2025年第4四半期に最大1億25百万ドル相当の追加取得オプションが設定されており、将来的にはIPOやスピンオフといった手段で部分的な価値実現を図る可能性も規約上想定されています。これらは地理的・事業分野の多様化を通じて収益源を拡大する具体策です。

技術革新と運営効率化の取り組みも明確です。同社はサイバーセキュリティを経営リスク管理の中心に据え、CIOとIT副責任者が週次でCEOに報告、四半期ごとに取締役会のリスク委員会へ状況報告する体制を整えています。実務面では多要素認証の導入、暗号化基準やウイルス対策の方針整備、従業員向けモバイルアプリや社内研修プラットフォーム(Ryman Hospitality University)による現場デジタル化を進め、持続可能性についてはGRIやSASBに沿ったサステナビリティ報告書を公表してESGを投資判断と運営に組み込んでいます。