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REPLIGEN CORPRGEN
事業内容
REPLIGEN CORPは、バイオ医薬品の製造工程を効率化するための機器や消耗品、分析ツールを開発・製造・販売する企業です。同社は上流工程・下流工程の両方に使える使い捨て製品やモジュール式のシステムを主力に、製造の歩留まり向上や工程の短縮に役立つソリューションを提供しています。
同社の主要顧客は大手バイオ医薬品メーカー、受託開発・製造機関(CDMO)、およびライフサイエンス企業で、売上の大部分は消耗品や単回使用製品から得ています。グローバルに直販体制を強化すると同時に大手流通企業との供給契約も結んでおり、地域別の営業組織を通じて顧客の開発段階から商業生産まで支援しています。
事業は大きく四つの分野に分かれており、最も規模が大きいのがろ過関連で、上流の細胞保持や下流の精製工程向けのろ過システムをそろえています。ほかに精製用のクロマトグラフィー製品、工程解析や現場での分析を行うプロセス解析機器、抗体精製などに使うタンパク質系の試薬やリガンドを展開しています。
同社は自社製品を「プラットフォーム化」して顧客の採用を促す戦略をとり、必要に応じて技術や製品の獲得を目的とした買収も行っています。研究開発投資と営業基盤の拡充を通じて、個別製品から工程全体を支える統合ソリューションへの移行を進めています。
経営方針
同社は中長期的な成長を「プラットフォーム化」と「選択的買収」によって実現することを目指しています。グローバルな生物製剤市場の追い風(モノクローナル抗体市場は年率約8〜10%の成長見通し、新規モダリティ市場は2024年に約150億ドル規模で年20%以上の成長が見込まれる)を踏まえ、2012年以降14件の買収を行い、製品ポートフォリオを拡大してきました。経営面では2023年7月に実施した組織再編で拠点の統合・人員削減を進め、資本政策では2023年に最大25百万ドルの自社株買い枠を承認し、600百万ドルの社債発行などで成長投資の財源を確保しています。なお売上の約37%は外国通貨建てであり、国際展開と為替変動の管理も成長戦略の重要な要素です。
同社はフィルトレーション(ろ過)、クロマトグラフィー、プロセス分析、タンパク質供給の四つの分野に重点投資し、競合との差別化を図ることを目指しています。特に「早期に現場で採用され、後工程までスケールできる技術」を標準化するプラットフォーム戦略を掲げ、消耗品中心のビジネスモデルを生かして顧客のワークフロー全体をカバーする統合ソリューションを展開しています。営業体制の強化も重視しており、直販の商業組織は2018年の103名から2024年末で334名(フィールド273名、カスタマーサービス37名、マーケティング24名)へと拡大し、北米・欧州・アジアでの導入支援を強めています。実製例として上流工程向けのXCell ATFシステムは培養密度を2〜3倍に高め、5,000リットルまでスケール可能なことから顧客の設備効率を向上させる差別化要因になっています。
新市場開拓や事業拡大は「選択的買収」と「地域拡大」で具体化しています。近年の買収例として2024年のTantti取得は総対価約74.8百万ドル(現金55.1百万ドル+条件付対価19.7百万ドル)で、開発済み技術として約28.9百万ドルを計上しました。2023年にはMetenovaやAvitideを取り込み、2025年3月には908 Devicesのデスクトップ向け分析機器ポートフォリオを取得してプロセス分析(PAT)分野を強化するなど、既存顧客への水平展開と隣接領域への参入を両輪で進めています。製造・供給面では世界に16の製造拠点を有し(大半は米国、欧州やアジアにも拠点)、グローバルな営業・フィールドサービス網の構築で顧客接点を拡大する計画です。
技術革新については社内研究開発と買収後の統合で差をつける方針です。同社は独自の知的財産を重視し、再組換えProtein Aの特許やTanttiから得たマクロポーラス樹脂技術、2019年買収のC Technologiesに由来するスペクトロスコピー系の特許群などを有しています。研究開発投資はプラットフォーム製品とその派生品の創出、製造歩留まりの向上とプロセスの高度化に向けられており、製造効率・品質管理・分析技術を組み合わせた「自動化・統合型ソリューション」の提供を通じて長期的な競争優位を確立することを目指しています。